2024年11月中にBlueskyアプリのユーザーが300%増加しデイリーアクティブユーザーは350万人に到達
調査会社の調べにより、アメリカ大統領選挙があった2024年11月中、ソーシャルネットワーキングサービスのBlueskyが大量のユーザーを獲得していたことがわかりました。ドナルド・トランプ氏を公に支持するX(旧Twitter)のオーナー、イーロン・マスク氏の影響が大きいと考えられています。
Meta loses ground to Bluesky as users abandon Elon Musk’s X
https://www.ft.com/content/e1b52147-c171-4902-8bce-204ba0905912
How decentralized is Bluesky really? -- Dustycloud Brainstorms
https://dustycloud.org/blog/how-decentralized-is-bluesky/
How decentralized is Bluesky really?
https://simonwillison.net/2024/Nov/22/how-decentralized-is-bluesky-really/
BlueskyはUIや雰囲気が「かつてのTwitter」に似ており、Xの代替サービス筆頭候補として語られることがよくあります。これまでにも、ブラジルでXが禁止されたり、Xがブロックの仕様変更を発表したりした際など、Xで大規模な変革が行われたときにユーザーがBlueskyへ流れるという事例がいくつかあり、2024年11月に入ってからは一時日間100万人のペースでユーザーが増加するという現象も見られていました。
11月20日にはユーザー数が2000万人を突破し、25日時点では公式統計で2200万人を超えていることがわかっています。
Blueskyのジェイ・グレイバーCEOによるとアメリカ、日本、ブラジルの影響力が強く、この3カ国が利用者のトップ3を占めているとのこと。
10. The three largest countries on Bluesky are the United States, Japan, and Brazil, and these countries were early adopters since our invite-only days as well. Thank you for being here! 💙
— Jay 🦋 (@jay.bsky.team) 2024年11月20日 3:24
日本では、以前よりXの利用規約に記載されていた「投稿をAI学習に利用する」という点が11月15日に明確化されたことを受け、AI学習を忌避するクリエイターとそのフォロワーがXを離れる動きも一部見られていました。
BlueskyがX(旧Twitter)とは異なり「投稿をAIのトレーニングに利用することはない」と表明 - GIGAZINE
調査会社Similarwebのデータによると、大統領選挙の日を境に、アメリカとイギリスにおけるBlueskyのアプリ利用者は約300%急増し、1日の利用者数は350万人に達したとのこと。
経済紙のFinancial Timesは、アメリカとイギリスにおけるユーザー数の増加を「学者やジャーナリスト、左派の政治家たちがXを利用しなくなったため」と分析しています。共和党のトランプ氏と、トランプ氏を支持するマスク氏の影響力がXの中で強くなる可能性があることが背景にあります。
トランプ氏は保守的な意見を検閲しているとされるSNSをかねてから非難しており、Metaなどのビッグテックに対する規制強化を主張してきたブレンダン・カー氏を連邦通信委員会の委員長に指名するなどして、「言論の自由を守る」という観点から検閲を取り締まろうとしています。一方のXは、マスク氏が以前から「誰もが自分の意見を言える街の広場のようなものにしたい」と語っていることもあり、検閲は最小限にとどめる方針。また、Xではマスク氏の買収以前からコンセプトとして存在した「コミュニティノート」が完成されており、運営側ではなくユーザー側である種のモデレーションを行う仕組みが構築されています。
X(旧Twitter)のコミュニティノートの表示・非表示を決めるアルゴリズムはどんな仕組みになっているのか - GIGAZINE
政治、科学などさまざまな話題が絶えず「おすすめ」として表示されるXに対し、政治のおすすめを意図的に減らしているのがMetaのサービスです。
Metaが運営するFacebook、Instagram、Threadsでは、法律、選挙、社会的なトピックなどに関連する政治的なコンテンツが積極的におすすめへ表示されることはありません。これは2024年2月に変更が加えられたもので、もともとThreadsで目指されていた「怒りの感情が薄い会話に興味がある人のために公共の場を作る」というもくろみが、FacebookとInstagramにも拡大された形です。
また、Threadsは当初からおすすめ表示に力を入れていましたが、11月にはユーザー自身で表示するトピックを選択できる機能を追加し、見たいものを自分自身で選択できるよう環境を作り替えています。Financial Timesは、この動きについて「Metaが(ユーザー自身で見たいものを選べる)Blueskyの台頭を抑えようとしているとの臆測がある」と指摘しています。
Blueskyは見た目こそXに似ていますが、Xと違って分散型SNSプロトコルが用いられており、たとえ運営企業が倒産するなどしても投稿内容や人間関係を維持したまま別のSNSへ移行できたり、どのサーバーからアクセスしても全ユーザーに同じデータを表示したりすることができるのが特徴。
一方で、他のフェディバースで用いられる分散型SNSプロトコル「ActivityPub」ではなく、Bluesky独自の「AT Protocol」を使用していることも特徴です。
ActivityPubの設計者であるクリスティン・レマー・ウェバー氏いわく、Blueskyはウェバー氏が言うところの「共有ヒープ」アーキテクチャを採用しており、包括的な検索機能や、ノードのユーザーがフォローしていないアカウントからのメッセージでも会話全体を表示可能といった特徴があります。
一方でActivityPubの「メッセージパッシング」アーキテクチャは、各ノードがネットワーク全体ではなくそのノードのユーザーがフォローしているアカウントのメッセージだけをインポートします。この方式のメリットは、ネットワーク全体を保存する際の負担を軽減できることにあります。
Blueskyは「共有ヒープ」アーキテクチャにより、ユーザーが別のホストに移行してもこれまでのコンテンツを保持できる仕組みを提供していますが、ユーザーからの情報を一度Blueskyのノードに通しているという仕組み上、ActivityPubより中央集権的で、さらにDMのエンドツーエンド暗号化も行われていないという懸念があります。
なお、Blueskyの開発者は、AT Protocolを標準化したいという考えを示しています。
Blueskyの中の人に「Blueskyの野望」「Blueskyの収益化計画」「Bluesky公式サーバーのスペック」「APIが使えなくなることはあるのか」「ジャック・ドーシーとBlueskyの関係」など今知りたいことを全部聞いてきました - GIGAZINE
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