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人類初のバーチャル会議は1916年に開催、どれくらいの規模でどのように開催されたのか?


ウェブカメラの普及やオンライン会議アプリの流行に加え、新型コロナウイルスのパンデミックによる対面会議を避ける風潮により、自宅にいながらオンラインで会議を行うバーチャル会議も現代では一般的になっています。アメリカに本部を置く電気・情報工学分野の学術研究団体であるIEEEによると、バーチャル会議の原初とされるのはIEEEの前身であるアメリカ電気技術者協会(AIEE)が1916年に開催した会議であるそうです。当時どのようにバーチャル会議が実施されたのかなどの詳細について、サウスカロライナ大学の教授であるアリソン・マーシュ氏が解説しています。

The First Virtual Meeting Was in 1916 - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/virtual-meeting


AIEEは、1916年5月16日20時30分から、ニューヨーク市にあるエンジニアリング協会のビルで会議を実施しました。会議は通信、輸送、照明、電力について当時の成果を記念して企画されたイベントで、アトランタ、ボストン、シカゴ、デンバー、ニューヨーク、フィラデルフィア、ソルトレイクシティ、サンフランシスコの8都市から5100人もの会員が出席しました。8つの都市にあるAIEEの支部は電話回線でつなげられ、ニューヨークから主導される会議を電話で聞き、応答する形式で進行します。そのうちデンバーとソルトレイクシティでは、電話回線が一方通行であったため、会議中に出席とあいさつを記した電報のみ本部に送ったそうです。

アトランタの地元紙はAIEEの会議を「世界史上かつて達成されたことのない偉業」と称賛しました。また、フィラデルフィアの日刊紙は「この電話回線は20州にまたがり、約6500kmを横断し、5000個のスイッチを経由する15万0000本以上の電柱によって支えられました」と説明しています。


マーシュ氏によると、AIEEの世界初バーチャル会議が驚異的だった理由のひとつは、その時期にあります。最初の大陸横断電話が完成したのは1914年6月17日で、通話が実現したのはサンフランシスコ万国博覧会の祝賀会と同日の1915年1月25日でした。「そこからわずか1年で、8都市を結んで5000人が参加するバーチャル会議を実現したことは、注目に値します」とマーシュ氏は述べています。

1916年の会議では、全員がチェックインして会議の内容が聞こえていることを確認した後、当時のアメリカ大統領であるウッドロウ・ウィルソンからの電報が読み上げられました。電報ではAIEEの試みを称賛し、「このイベントは、研究者が代表する発明の才能とエンジニアリング能力を示す、非常に興味深い証拠です」と語られました。

続いて、電話の発明で知られるアレクサンダー・グラハム・ベルが登壇し、「電話が当初の構想をはるかに超えて進歩していることを嬉しく思います」と述べました。その後も、電話サービスの確立に尽力した人物やイギリス人のエンジニア、ベルの助手として電話で会話を初めて聞いたトーマス・ワトソンなどが、それぞれの立場を代表してスピーチをしています。

21時になり、電話による接続は30分間中断され、各都市で招待されたゲストがそれぞれ講演しました。ボストンではハーバード大学のローレンス・ローウェル学長、フィラデルフィアではペンシルベニア大学のエドガー・スミス学長など、それぞれが当時の技術的進歩をたたえながら、今後の目標や足りていない面について説いたそうです。マーシュ氏によると、都市ごとの講演の後は改めて電話によるバーチャル会議が再開し、エンジニアリング能力の最新情報について「自慢話」が交わされたとのこと。そしてその後、各都市は蓄音機で選んだ曲を流して電話で会議全体へ送信するという、参加者全体で音楽を楽しむ時間になりました。


会議の最後は、現在のIEEEも従っているというロバート議事規則に倣い、決議、修正、承認、賛成のプロセスが執り行われました。最後の決議では、参加者は初めてのバーチャル会議を主催したこと、そしてそれを可能にした自分たちの能力を認めて自画自賛する宣言が行われています。

世界初のバーチャル会議の詳細は、AIEEの議事録(PDFファイル)として残っています。しかし、議事録で語られていない重要な詳細もあり、マーシュ氏は「第一に、この会議の長距離通話料はいくらで、誰が支払ったのか。第二に、聴衆は当時のどのような受信機を使い、それが機能したのか。そして最後に、メンバーとゲストはこの壮大な実験をどう思ったのか。以上の基本的な疑問に対する答えは、どこにも見つかっていません。また、なぜ誰もこの出来事の写真を撮らなかったのかについても、疑問に思う人は多いでしょう」と語っています。マーシュ氏によると、AIEEのバーチャル会議は特殊なイベントであり、その後は3都市で同じ論文を読んで電話しながら議論するという試みがあった程度で、その後同様のバーチャル会議が繰り返されたという記録はないそうです。

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in メモ, Posted by log1e_dh

You can read the machine translated English article The first virtual conference in human hi….