サイエンス

1滴の血液から約1時間で血液検査ができる超小型デバイスが登場


数時間から数日かかる血液検査をたった1時間で終わらせる携帯型装置が開発されました。1滴の血液さえあれば十分とのことで、患者の負担が大きく減ることが期待されています。

Acoustic pipette and biofunctional elastomeric microparticle system for rapid picomolar-level biomolecule detection in whole blood | Science Advances
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.ado9018

Handheld diagnostic performs 1-hour blood tests from a finger prick
https://newatlas.com/imaging-diagnostics/blood-tests-diagnostic-one-hour/

Bedside blood test uses soundwaves to deliver faster results - YouTube


病気で入院したり健康診断を受けたりするときには採血が行われることがあります。通常は腕に針を刺して血液を採取し、検査機関に送って病気や症状の有無、進行度合いを示す特定の分子を調べるのですが、これには数時間から数日かかることがあり、進行の早い病気等にとっては理想的なスピードではありません。

コロラド大学ボルダー校の研究者たちが開発した携帯型装置は、たった1滴の血液から、約70分程度でさまざまな病気のバイオマーカーを分離することができるという特長を備えています。


研究者によると、この装置は音波を使ってウイルスやタンパク質などの特定のバイオマーカーを分離・捕捉するというものだそうです。患者から採取した少量の血液サンプルを、機能的陰性音響コントラスト粒子(fNACP)と呼ばれる粒子と混合して携帯型装置に入れて作動させると、音波にfNACPが反応し、特定のバイオマーカーと共に装置内の一方へ押しやられます。


粒子がすべて一方に押しやられると血液やその他の成分が洗い流されることになります。その後、蛍光タグがバイオマーカーに付けられ、レーザーで照らされ、バイオマーカーの量が計算され、より詳しい分析が行えるようになります。


研究を主導したクーパー・トーメ氏は「基本的には、音波を使って粒子を操作し、ごく少量の液体から迅速に分離するというものです。これは血液バイオマーカー測定の全く新しい方法です」と述べました。この装置を使うことで、糖尿病治療に使われるような指刺し注射で血液サンプルを採取し、その場で分析できるようになることが期待されています。

研究チームは1つのサンプルで複数のバイオマーカーを検査する方法を研究しており、さらにこの装置を一度に複数人のサンプルに対応させることも検討しているとのこと。しかし、記事作成時点ではまだコンセプトの実証に過ぎず、臨床応用にはまだ多くの課題が残されているそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
血液検査でアルツハイマー病を90%の確率で正確に診断できることが研究で判明 - GIGAZINE

血液検査で「症状が出る前」にパーキンソン病の発症リスクを調べるAIツールが開発される - GIGAZINE

50種類以上のがんを検出できる画期的な血液検査がいよいよ大規模テストの段階へ - GIGAZINE

in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.