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QualcommがGoogleと提携して自動車メーカーのAI音声アシスタント開発を支援、ダッシュボードや自動運転機能を強化する2つの新チップを発表


チップメーカーのQualcommがGoogleとの複数年にわたる戦略的提携を発表し、生成AIを搭載した自動車向けのデジタル開発プラットフォームの実現を目指すことを明らかにしました。また、自動車向けプラットフォームとして「Snapdragon Cockpit Elite」と「Snapdragon Ride Elite」という2つのチップも発表しています。

Qualcomm Announces Multi-Year Strategic Collaboration with Google to Deliver Generative AI Digital Cockpit Solutions | Qualcomm
https://www.qualcomm.com/news/releases/2024/10/qualcomm-announces-multi-year-strategic-collaboration-withgoogle

Qualcomm Races Ahead in the Evolution of Software-Defined Vehicles with New Snapdragon Cockpit Elite and Snapdragon Ride Elite Platforms | Qualcomm
https://www.qualcomm.com/news/releases/2024/10/qualcomm-races-ahead-in-the-evolution-of-software-defined-vehicl

QualcommはSnapdragon Digital ChassisやGoogleのAndroid Automotive OS、そしてGoogle Cloudの技術を組み合わせて、「生成AIを活用した次世代の車載体験」を実現する開発プラットフォームの構築を目指しています。特に、直感的な音声アシスタントや没入型のマップ体験、ドライバーのニーズをリアルタイムで予測する機能などの「次世代の車載体験」について、Qualcommは高性能なSoC、そして自動車向けにAIモデルを最適化する「Qualcomm AI Hub」で実現していくとしています。


また、Googleとの戦略的提携の上で、「生成AIに対応したデジタルコックピット開発フレームワーク」を開発していくとのこと。このフレームワークはAndroid Automotive OSのソフトウェアとサービスを事前に統合することで、最先端のデジタルコックピット体験をリアルタイムで強化できるように設計されており、カスタマイズ可能な応答性の高い音声ユーザーインターフェースを実現するそうです。

さらに、Google Cloud上でホストされる自動車ソフトウェア開発をSnapdragon向けに最適化することで、開発者の生産性向上と市場投入までの時間短縮を目指すとのこと。加えて、Google Cloud上で動作するSnapdragon Connected Services Platformにより、APIを利用したサービスモデルとアップグレード可能なサービスインフラストラクチャが実現するとQualcommは述べています。


Qualcommの自動車・産業・クラウド担当部門ゼネラルマネージャーであるナクル・ドゥガル氏は、「QualcommとGoogleの提携は自動車メーカーやサプライヤーに新しい可能性を提供し、安全でデジタルに進化した体験を生み出すための重要なマイルストーンになるでしょう」とコメント。また、Googleののエンジニアリング担当バイスプレジデントであるパトリック・ブレイディ氏は、「生成AI、自動運転ソリューション、そしてプラットフォームのライフサイクルを通じたソフトウェア機能が刷新され、自動車産業は大きな転換点にあります」と語りました。

そして、このGoogleとの提携と併せて発表されたのが、生成AIに対応した自動車向けSoCプラットフォームであるSnapdragon Cockpit EliteとSnapdragon Ride Eliteです。両チップは共にQualcommのOryon CPUを搭載しており、CPU性能は従来比で3倍の処理速度を実現しているとのこと。


また、AI性能に関しては専用のNPUを搭載し、従来比で12倍の性能向上を達成したとのこと。これにより、車外環境や車内のデータをリアルタイムで処理することができ、すばやい意志決定や臨機応変な対応、予測的な支援が可能になるとQualcommは述べています。


システムの柔軟性も向上しており、複数のアプリケーション、カメラ、センサー、AIによる音声処理などを、性能を損なうことなく同時に実行可能。さらに、自動車メーカーは全ての車種に対して設定可能なソフトウェア定義車両(SDV)を作成できるようになり、車両アーキテクチャの簡素化も実現できるとのこと。

安全性に関しても高い基準を満たしており、ASIL-D基準に対応する専用の安全制御装置と堅牢(けんろう)なハードウェアアーキテクチャを備えており、さらにカメラシステムも強化され、最大20台の高解像度カメラを使用した360度の視覚カバレッジと車内モニタリングをサポート可能。Qualcommは、自動車メーカーがSnapdragon Cockpit Eliteで先進的なデジタル体験を、Snapdragon Ride Eliteで自動運転機能を実現することができ、同じチップ上で両方の機能を統合することも可能だと述べています。

Snapdragon Cockpit EliteとSnapdragon Ride Eliteは2025年からサンプル提供が開始される予定で、すでにメルセデス・ベンツと中国のEVメーカーであるリ・オートが採用を表明しています。メルセデス・ベンツのチーフソフトウェアオフィサーであるマグニュス・エストベルグ氏は、「この強力で効率的な中央演算技術により、顧客に比類のない車内体験を提供できるようになるでしょう」と期待を示しています。

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in ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by log1i_yk

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