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AIの基礎研究でノーベル物理学賞を受賞したジェフリー・ヒントン氏が「教え子がサム・アルトマンCEOを解雇したことを誇りに思う」と発言

by TechCrunch

スウェーデン王立科学アカデミーが2024年10月8日に、「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的な発明」を理由に2024年ノーベル物理学賞をアメリカ・プリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授とカナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン教授に授与しました。そして同日に行われた受賞者スピーチで、ヒントン氏は「私が誇りに思っているのは、教え子の1人がサム・アルトマンを解雇したことです」と述べました。

After winning Nobel for foundational AI work, Geoffrey Hinton says he's proud Ilya Sutskever 'fired Sam Altman' | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/10/09/after-winning-nobel-for-foundational-ai-work-geoffrey-hinton-says-hes-proud-ilya-sutskever-fired-sam-altman/

ヒントン氏は、ホップフィールド氏が開発した「ホップフィールド・ネットワーク」と呼ばれる、データを保存し再構築できる「パターン・マッチング型」のニューラルネットワーク技術を基に、ニューラルネットワークへの学習を可能にする「バックプロパゲーション」というアルゴリズムを開発しました。

両氏は物理学や統計的手法などのアプローチでこれらの技術を開発し、その功績を認め、スウェーデン王立科学アカデミーは両氏にノーベル物理学賞を授与しています。今回の受賞に至った経緯や両氏の反応は以下の記事に詳しくまとめられています。

人工ニューラルネットワークによるAI・機械学習の基礎を提唱した研究者2名がノーベル物理学賞を受賞 - GIGAZINE


その後行われた受賞者スピーチにおいて、ヒントン氏は「特に幸運だったのは、私よりもはるかに賢い学生が大勢いたことです。彼らは数多くの素晴らしい功績を残しており、最も誇りに思っているのは、私の教え子の1人がサム・アルトマンを解雇したという事実です」と述べています。以下はヒントン氏が該当の発言を行った実際のスピーチで、3分17秒頃から上記の発言を聞くことができます。

University of Toronto Press Conference - Professor Geoffrey Hinton, Nobel Prize in Physics 2024 - YouTube


OpenAIは2023年11月17日に突然、アルトマンCEOの退任および退社を発表しました。この電撃解任騒動はアルトマンCEOとOpenAIの取締役会の対立によって起こったとみられており、特にアルトマンCEOの解任を主導したのが取締役の1人であったイルヤ・サツキヴァー氏だったことが報じられています。

OpenAIのサム・アルトマン元CEO退任は主任研究員のイルヤ・サツキヴァー氏との「AIの安全性」をめぐる対立が原因か - GIGAZINE


2012年にヒントン氏は当時トロント大学の学生だったサツキヴァー氏らとともに、ニューラルネットワークのアーキテクチャであるAlexNet論文を発表しており、ニューラルネットワーク技術の基礎を打ち立てました。

その後サツキヴァー氏はOpenAIの共同創設者兼主任研究員に就任しており、AI技術のリスクから「私は間違っていた」と語り、それまでオープンにしてきたAI研究の情報公開を制限する方針へと転じています。これはヒントン氏も同様で、2013年にGoogleでAIシステムの研究を行ってきたヒントン氏は、AIの危険性について自由に発言するために2023年4月にGoogleを退社しています。

「AIのゴッドファーザー」がAI研究を後悔しGoogleを退社 - GIGAZINE


海外メディアのTechCrunchは「ヒントン氏は、教え子であるサツキヴァー氏がAI開発を推し進めるアルトマンCEOを解任したことを、AIの安全性における成功と考えているようです」と語りました。

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