小型4Kカメラ「GoPro HERO」2024年版を実際に使ってみたレビュー、価格が安い分だけブレ補正などをスマホのQuikアプリで処理する前提なので時間が余計にかかる点に要注意

「GoPro HERO」は86gの極小ボディに4K・30fpsの動画撮影機能や最大5mの防水機能を詰め込んだカメラです。そんなGoPro HEROを借りられたので、ブレ補正性能や暗所撮影性能、バッテリー性能などを詳しく確かめてみました。

GoPro HERO (GoPro最小のアクションカメラ)
https://gopro.com/ja/jp/shop/cameras/learn/hero/CHDHF-131-master.html

GoPro HEROはバッテリー内蔵式の小型防水カメラです。GoPro HEROの見た目やGoPro HERO13 Blackとの大きさ比較は、以下の記事で確認できます。今回はGoPro HEROを屋外に持ち出して多様な状況で動画を撮影してみます。

わずか86gの極小4Kカメラ「GoPro HERO」外観レビュー、GoPro HERO13 Blackとの大きさ比較もあり - GIGAZINE

・目次
◆1：動きの激しい動画を撮影
◆2：水中ムービーを撮影
◆3：夜間の路上を撮影
◆4：バッテリー持続時間＆充電時間を検証
◆5：長時間撮影に問題あり
◆6：まとめ

◆1：動きの激しい動画を撮影
GoProシリーズといえば高性能なブレ補正機能「HyperSmooth」が大きな特徴ですが、GoPro HEROにはブレ補正機能が搭載されておらず、専用アプリの「Quik」を使ってブレ補正を適用する必要があります。

GoPro HEROで撮影したブレ補正適用前の動画が以下。「自転車をこぐ様子を一人称撮影」という比較的おとなしい動きの動画ですが、ガタガタと揺れています。

GoPro HEROで撮影した一人称自転車走行動画【ブレ補正前のオリジナル動画】 - YouTube

動画をQuikに転送してブレ補正を適用したものが以下。ブレはかなり抑えられましたが、全体的に映像がぼやけているのが気になります。

GoPro HEROで撮影した一人称自転車走行動画【Quikアプリでブレ補正済み】 - YouTube

「階段をダッシュで上り下りする」という動きの激しい動画も撮影してみました。ブレ補正適用前だと激しくブレています。

GoPro HEROで撮影した階段ダッシュ動画【ブレ補正前のオリジナル動画】 - YouTube

ブレ補正適用後はこんな感じ。ブレを抑えられました。

GoPro HEROで撮影した階段ダッシュ動画【Quikアプリでブレ補正済み】 - YouTube

GoPro HEROは動きのおとなしい動画でもブレが発生してしまうため、アクションカメラらしい「ブレを抑えた動画」を作成するにはQuikへの転送が必須です。しかし、GoPro HEROからQuikに動画を転送するには長い時間がかかるほか、「ブレ補正を適用した動画の書き出し」にも時間がかかります。

例えば、GoPro HEROで撮影した「画質設定：4K・30fps、長さ：31秒、容量：190.13MB」という動画ファイルをiPhone 15 Pro MaxにインストールしたQuikでブレ補正処理する場合、転送に約4分、補正適用後の書き出しに約27秒かかりました。

Quikへの無線転送ではなく、「microSDカードリーダーをスマートフォンに有線接続して動画を転送し、スマートフォン内に保存した動画をQuikで読み込む」という手順を踏めば作業時間をある程度短縮できますが、それでも動画を撮影するたびにQuikでブレ補正を適用するのは非常に面倒です。

◆2：水中ムービーを撮影
GoPro HEROは最大5mまでの防水性能を備えており、気軽に水中撮影が可能です。

GoPro HEROで撮影した水中ムービーはこんな感じ。

GoPro HEROで撮影した水中ムービー【Quikアプリでブレ補正済み】 - YouTube

◆3：夜間の路上を撮影
暗所での撮影性能を検証するべく、夜間の屋外を散歩する動画を撮影してみます。撮影場所は街灯とビルの照明に照らされた歩道で、肉眼で見た明るさはこんな感じ。

GoPro HEROで撮影したブレ補正前の動画が以下。肉眼と同じくらいの明るさで撮影できました。

GoPro HEROで夜間の散歩を撮影【ブレ補正前のオリジナル動画】 - YouTube

ブレ補正を適用すると、カメラの動きにそって不快なにじみが発生する低品質な動画になってしまいました。暗い場所ではブレ補正は諦めるしかないです。

GoPro HEROで夜間の散歩を撮影【Quikアプリでブレ補正済み】 - YouTube

◆4：バッテリー持続時間＆充電時間を検証
GoPro HEROの基本の撮影設定は4K・30fpsで、バッテリーセーバーを有効化すると撮影設定が1080p・30fpsに切り替わります。

バッテリーセーバーを有効化した状態で満充電からバッテリー切れまで動画を撮影した結果、2時間31分25秒も撮影し続けられました。撮影した動画は以下。

「GoPro HERO」のバッテリーが切れるまで登山【1080p・30fps】【Quikアプリでブレ補正済み】 - YouTube

バッテリー切れになったGoPro HEROを充電アダプターに接続して、満充電までにかかる時間を測定してみます。なお、充電アダプタはUSB PD 3.1に対応したアドテックの「APD-V140AC2-BK」を使い、USBケーブルは100円均一ショップなどで買えるE Core製ケーブル「何でも使える万能ケーブル(100W PD対応ケーブル 1m 専用スタンド付き)」を使いました。

バッテリー残量を10分ごとに記録してグラフ化したものが以下。60分で満充電できました。

◆5：長時間撮影に問題あり
GoPro HEROで動画を長時間撮影すると、3.66GBごとにファイルが分割されます。1080p・30fpsで撮影した場合、約17分17秒ごとにファイルが分割されました。なお、兄弟機のGoPro HERO13 Blackの場合は10.49GBに到達した時点でファイルが分割される仕組みでした。

分割されるだけなら後から結合すればいいので大きな問題にはならないのですが、GoPro HEROでは「各動画ファイルにQuikでブレ補正を適用した後に、動画編集ソフトで結合」という処理が必要。さらに、「Quikでブレ補正を適用して動画を書き出すと、ファイルが分割されるタイミングのフレームが欠落する」という問題も存在しています。

「ブレ補正前のオリジナル動画ファイルを2個結合」と「Quikでブレ補正して書き出した後の動画ファイルを2個結合」という条件でフレーム欠落の有無を比べた動画が以下。ブレ補正後の動画では、ファイル1からファイル2に切り替わる瞬間にコマ落ちが発生していることが分かります。

Quikでブレ補正した動画ファイル同士を結合するとコマ落ちが発生する - YouTube

「Quikアプリ上で結合処理まで実行すればいいのでは？」と考えて試してみたのですが、記事作成時点では「Quikアプリで動画を編集しようとするとアプリがクラッシュする」という問題が発生しており、アプリ上での操作完結は不可能でした。

Quikで動画を編集しようとするとアプリがクラッシュする【iPhone 15 Pro Max】 - YouTube

◆6：まとめ
実際にGoPro HEROを使ってみた結果、「ブレ補正機能が内蔵されておらず、動画を撮影するたびにスマートフォンに動画を転送してブレ補正を適用する必要がある」「夜間のブレ補正の品質が非常に低い」「長時間の動画を撮影した際にコマ落ちが発生する」といった致命的な問題を複数抱えていることが分かりました。

2022年に登場した小型GoPro「GoPro HERO11 Black Mini」はGoPro HEROより重いもののブレ補正機能を内蔵して大型モデルと遜色ない動画を撮影できていました。GoPro HEROの第2世代がもし計画されているなら、Quikでのブレ補正機能などをもっとまともなレベルに修正するか、これまでのGoProと同じくハードウェア側で処理してほしいです。

なお、GoPro HEROは記事作成時点ではAmazon.co.jpでmicroSDカード付きのセットが税込3万5800円で販売されています。

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