サイエンス

ペットと飼い主が一緒に健康で幸福になるための「5つのポイント」とは?


かわいらしいペットは飼い主である人間を幸福にしてくれる上に、散歩や世話などが適度な運動となって飼い主の健康までサポートしてくれます。しかし、人間とペットの関係性は一方的なものではなく双方向的なものであり、飼い主もまたペットの幸福と健康をサポートするべきです。そこでイギリスのノッティンガム・トレント大学で動物科学の上級講師を務めるジャクリーン・ボイド氏が、「ペットと飼い主が一緒に健康で幸福になるための5つのポイント」についてアドバイスしています。

Five ways to get healthier (and happier) with your pet
https://theconversation.com/five-ways-to-get-healthier-and-happier-with-your-pet-227295


◆1:休息とリラクゼーション
イヌと遊ぶと人間のストレスや苦痛が和らぐことが知られているほか、大変なタスクをしている間にイヌが物理的に近い場所にいると、血圧や心拍数が低くなることが研究で示されています。このように、ペットは飼い主に快適さや安心感を与えてくれていますが、同様に飼い主もペットにとっての安全な避難場所や遊び相手になってあげることができます。

しかし、飼い主とペットがあまりに激しく密接に相互作用している場合、ペットの飼い主に対する愛着が大きくなりすぎて攻撃性や恐怖心が増したり、分離不安障害を患ったりすることもあるそうです。また、一部のペットは人間との過度な接触を好まないため、接触のしすぎがペットにとってストレスになるケースもあるとのこと。

また、飼い主の中にはペットと一緒に寝ることを好む人もいますが、ペットと一緒に寝ると睡眠障害やケガの原因になったり、人獣共通感染症が伝染したりする危険性もあります。その一方で、ペットと一緒に寝ることが安心感につながるほか、ペット自身が飼い主の近くで寝ることを好むケースもあるため、ペットと飼い主の関係性によっては相互にメリットがあるかもしれません。


◆2:良好な関係の構築
飼い主とペットの両方が健康を維持するには両者が良好な関係を構築することが重要であり、これには飼い主がペットの福祉と幸福に責任を持っていることを認識する必要があります。ペットとの関係性が機能不全に陥ると攻撃性が増加するリスクが高くなるほか、反抗的なイヌを飼っている人はストレスが大きいという研究結果も報告されています。

ペットを訓練する際は飼い主とのポジティブな関係性を築くのに役立つ方法を選択した方がよく、研究によると失敗した時に罰を与えるのではなく、うまくいった時に褒めてあげるアプローチが動物の福祉とスキル習得にとって最良だとのこと。良好な関係を築いているペットと飼い主は、介助犬やセラピーペットによく見られるそうで、セラピーペットとの触れ合いは患者の退屈や抑うつ症状を軽減するのに役立つことがわかっています

◆3:友達を作る
ペットを散歩に連れて行くと、近所の人から話しかけられる機会が増えるほか、同じペットを飼っている人と仲良くなるきっかけもできます。そのため、ペットは人間関係を構築してコミュニティの感覚を築くのに役立ち、ペットの飼い主はペットを飼っていない人と比べて孤独や社会的孤立を経験する可能性が低くなるとのことです。


◆4:健康的な食事
近年はペットの平均ウエストラインがますます大きくなっており、イヌの肥満率は飼い主のBMIと有意な関連性があるという研究結果も報告されています。これは飼い主とペットの肥満に因果関係があることを示唆しており、飼い主の貧しい食習慣や運動習慣が意図せずペットの健康を損なっている可能性があるとのこと。

ボイド氏は、飼い主がよりペットの健康にいい食事を提供するように呼びかけることで、飼い主自身もより健康的な食事をするようになる可能性があると主張。「食生活の改善と定期的な運動を組み合わせることで、ペットや人間のウエストを健康的なサイズまで減らすことができるかもしれません」とボイド氏は述べました。

◆5:健康のためのウォーキング
定期的な運動は人間とペットの両方にとって、多くの健康上のメリットに関連しています。特にイヌの飼い主にとって、散歩は自分たちの健康を改善するためのやりやすく費用対効果が高い方法です。たとえば、定期的にイヌの散歩をする人は、イヌを飼っていない人や飼いイヌの散歩をしない人と比べて肥満率が低いことが報告されています。

ボイド氏は、人々がペットの散歩をしないのは単に怠惰や時間的余裕のなさだけでなく、安全上の懸念やペットのふんの処理といった手間が理由になっているケースもあると指摘。そのため、ペットが安全散歩できる環境を整えるなどの方法で、散歩をする飼い主を増やせる可能性があるとのことです。


ボイド氏は、「結局のところ、ペットとの暮らしはお互いにメリットがあり、健康かつ幸せな関係であるべきです。これら5つのガイドラインに従うことで、飼い主とペットがお互いに安らぎと落ち着きを見いだし、健康的な体重と将来の見通しを維持できるはずです」と述べました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

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