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AIアバターでニュースを配信してメディア弾圧を回避するプロジェクトがベネズエラで進行中


2024年7月28日に投票が行われたベネズエラの大統領選挙では、ニコラス・マドゥロ大統領が3期目の当選をしました。独裁政治を押し進めるマドゥロ政権下で、ジャーナリストたちは現代の社会主義について報道するだけで逮捕されるプレッシャーにさらされているため、その回避のためにAIが作成した架空のニュースキャスターを用いる戦略を採用しています。

‘Being on camera is no longer sensible’: persecuted Venezuelan journalists turn to AI | Venezuela | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/article/2024/aug/27/venezuela-journalists-nicolas-maduro-artificial-intelligence-media-election


Venezuelan Journalists Are Using AI Stand-Ins to Combat Media Crackdown | PetaPixel
https://petapixel.com/2024/08/27/venezuelan-journalists-are-using-ai-stand-ins-to-combat-media-crackdown/

2024年7月のベネズエラ大統領選挙では、ニコラス・マドゥロ大統領の当選について、アメリカや中南米の国々が加盟する米州機構の選挙監視部門が「ベネズエラの選挙管理委員会が発表した投票結果は認められない」と見解を発表するなど、世界中から疑念が向けられています。

世界中から結果に疑いの目が向けられているベネズエラの大統領選挙において不審なデータパターンが見つかる - GIGAZINE


そのため、ベネズエラでは選挙後の反対派や活動家の動きが活発ですが、反対勢力やそれを報じるメディアに対し、マドゥロ大統領は強い弾圧の姿勢を見せています。実際に、ベネズエラで続いた広範囲かつ激化する弾圧を批判的に報じたジャーナリストのマリア・オロペサ氏が、ベネズエラの軍事防諜(ぼうちょう)総局によって逮捕されたことをアメリカのFOXニュースが報道しました。オロペサ氏は携帯電話を没収される直前のInstagram配信で「私は犯罪者ではありません。別の国を望むただの国民の1人です」と語っていましたが、それ以降のオロペサ氏の消息は不明となっています。このような大統領政権下の治安部隊による逮捕者は2200人にものぼっており、そのうち少なくとも9人がジャーナリストだと判明しています。

コロンビアのジャーナリズム・プラットフォームである「Connectas」は、報道陣を危険にさらすことなく毎日の放送を行うため、AIが作成したニュースキャスターを起用する取り組みを実施しています。Connectasでディレクターを務めるカルロス・エドゥアルド・ウエルタス氏は「AIの使用は単なる工夫ではなく、ベネズエラでジャーナリストたちが受けている迫害と抑圧の増大に対する対応です。職務遂行の安全性に関する不安は刻々と高まっています」と語りました。


AIのニュースキャスターは、「話を続ける前に、もし気づいていないなら、私たちは本物ではないということをお知らせします」と話し始めた上で、ベネズエラ大統領選挙についての疑わしい点や、マドゥロ大統領が就任してから2週間もたたないうちに、抗議活動中に1000人が拘束され少なくとも23人が殺害された旨を報じました。イギリスの日刊紙であるThe Guardianによると、逮捕されたうちの1人である26歳のスポーツ記者兼写真家のポール・レオン氏は、平和的な抗議活動を撮影中に警察に連行され、後にテロ容疑で告発されたとベネズエラのジャーナリスト組合「SNTP」が伝えているとのこと。


本物の記者の身元を隠すためにAIで作成された仮想ジャーナリストの取り組みには、ベネズエラのニュースおよびファクトチェックを行う約20のメディアと約100人のジャーナリストが参加しており、Chama(親友)やEl Pana(相棒)と呼ばれるアバターが毎日のニュースを伝えています。ウエルタス氏は「権威的な雰囲気がますます強まっているマドゥロ政権下では、カメラの前に立つことはもはや賢明ではない」と語りました。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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