映画「メガロポリス」の予告編で登場した映画批評家によるコメントはすべてAIで捏造されたものであったことが明らかになり予告編が削除&担当者も解雇
フランシス・フォード・コッポラ監督の最新作となる映画「メガロポリス」の予告編で、AIが生成した「偽のレビューコメント」が使用されていたことが明らかになり、予告編の制作を担当していたエディ・イーガン氏がマーケティングチームから外されるという事態が起きました。
'Megalopolis' Marketing Consultant's Lionsgate Ties Cut Over Trailer Debacle
https://deadline.com/2024/08/megalopolis-marketing-consultant-lionsgate-ties-cut-trailer-debacle-1236049223/
AI was responsible for the fake quotes in the Megalopolis trailer - The Verge
https://www.theverge.com/2024/8/25/24228003/megalopolis-trailer-fake-quotes-ai-generated-eddie-egan-dropped-lionsgate
コッポラ監督によるSF映画であるメガロポリスは、製作をアメリカン・ゾエトロープ、配給をライオンズゲートが担当しています。
2024年8月22日に公開された「メガロポリス」の予告編は、コッポラ監督がこれまで制作してきた作品に関する映画評論家のレビューコメントをまとめたもので、The New Yorkerのポーリン・ケイル氏や、The Village Voiceのアンドリュー・サリス氏といった著名な映画評論家による、コッポラ監督自身や作品に対する「批評」が数多く登場しました。
Megalopolis - Official Trailer (2024) Adam Driver, Giancarlo Esposito, Aubrey Plaza - YouTube
例えば、ケイル氏はコッポラ監督の映画「ゴッドファーザー」に対して「芸術性によって価値が下がった」と批評しており、サリス氏も「いい加減で自己満足的な映画」と批評したとされています。メガロポリスがカンヌ映画祭前の初上映時に賛否両論だったことを受け、「コッポラ監督の過去の名作も賛否両論だった」と示す意図がうかがえます。
しかし、この予告編に含まれていた映画評論家からの批評は実際には存在しない偽コメントであることがすぐにVultureによって指摘されました。引用元となっているレビューでは、ケイル氏もサリス氏もどちらもゴッドファーザーを称賛しており、予告編に登場するような批評は行っていませんでした。
その後、ライオンズゲートは問題の予告編をインターネット上から削除し、「ライオンズゲートはメガロポリスの予告編をただちに撤回します。審査プロセスにおけるこの許しがたい誤りについて、関係する批評家、フランシス・フォード・コッポラ、アメリカン・ゾエトロープに心からお詫び申し上げます。我々のミスです。申し訳ありませんでした」と謝罪。
映画関連メディアのDeadlineが独自に調査を実施した結果、偽コメントはAIによって生成されたものであることが判明しました。Deadlineが関係者から入手した情報によると、AI生成コメントはSTXfilmや大手映画スタジオで幹部職を務めたのち、記事作成時点では独立系の映画コンサルタントとして働くエディ・イーガン氏が制作したものだったとのこと。
当初、AI生成の偽コメントは「映画を話題にするための意図的に考案されたマーケティング戦略」なのではという声もありましたが、Deadlineの報道によると、イーガン氏およびライオンズゲートは、意図的にコメントを捏造したわけではなかったとのことです。
この騒動の後、イーガン氏はマーケティングチームから解雇されています。
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