ゲームは精神的な幸福度にいい影響を与えることが日本の研究で判明
日本大学の江上弘幸氏が、「ゲームをプレイすることが精神衛生を保つのに良い」という研究結果を発表しました。論文は2024年8月19日に「Nature Human Behavior」誌に掲載されています。
PlayStation is good for you: video games improved mental health during COVID
https://www.nature.com/articles/d41586-024-02643-8
実験が行われたのは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るっていた2020年12月から2022年3月までの期間。この期間中、Nintendo SwitchやPlayStation 5が品薄になり、消費者は購入権を得るために抽選に応募する必要がありました。
江上氏は抽選が行われている事に着目し、ゲームと精神衛生に関する自然実験を行う機会ととらえ、抽選に応募した10歳から69歳までの8192人を対象に5回のアンケート調査を行いました。
アンケート調査では心理的苦痛や生活満足度のほか、ゲームの所有状況や過去30日間にどれくらいビデオゲームをプレイしたかというデータを収集。抽選に当たってNintendo SwitchやPlayStation 5を購入できた被験者は抽選に外れて購入できなかった被験者に比べ、心理的苦痛が減少したり生活満足度が高まったりしたとのこと。
PlayStation 5の場合、「男性」「ハードコアゲーマー」「子どもの居ない世帯」においてゲーム機の影響が特に顕著でした。一方Nintendo Switchの場合は「家族」「経験の浅いゲーマー」において影響が大きかったそう。
どちらのゲーム機でも、ゲームをプレイすることで被験者の生活満足度は高まり、プレイ時間が増加すると精神衛生面でさらなる改善が見られたとのこと。ただし、1日3時間以上プレイするプレイヤーの場合はプラス効果が薄れていき、長時間プレイしても精神衛生が向上し続けるわけではないことが示唆されています。
オックスフォード大学でビデオゲームの影響を研究している心理学者のアンドリュー・プリズビルスキ氏は「この研究は世界中のゲーム研究者が注意深く見習うべき実例を提供している」としつつも、「パンデミック中に実験を実施した場合、人々の精神衛生が全体的に悪く、他の活動を行う機会が少なかったため、ゲームの精神衛生上の利点が増幅された可能性がある」と述べました。
江上氏は「次のステップは研究を再現し、パンデミック以外の期間でも結果が維持されるかどうかを確認することです」と語っています。
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