脳・精巣・子宮にまで入り込むマイクロプラスチックの摂取量を極力減らすにはどうすればよいのか?
直径5mm未満の「マイクロプラスチック」は、食品や水の摂取、浮遊する粒子の吸入などによって体内に取り込まれます。体内にマイクロプラスチックを取り込んだときの健康リスクはまだはっきりとしていませんが、潜在的には心臓病のリスク増加などが指摘されています。マイクロプラスチックに関する研究を行っているニューメキシコ大学が、マイクロプラスチックの摂取量を減らすための方法を紹介しています。
Microplastics: Minimizing Exposure to An Invisible Health Threat
https://hsc.unm.edu/news/2024/08/hsc-newsroom-post-minimizing-microplastics.html
Microplastics are infiltrating brain tissue, studies show: ‘There’s nowhere left untouched’ | Pollution | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/article/2024/aug/21/microplastics-brain-pollution-health
「プラスチックに出会わずに生きていくのは不可能」といっていいほど、現代の暮らしはプラスチックに包まれています。使い捨てのプラスチックが捨てられるまでの時間は平均するとわずか12分だそうで、捨てられたあと多少は分解されるものの、最終的にはマイクロプラスチックとなって環境に残り続けます。そして、食物連鎖や粒子の吸入、皮膚接触などを経て、体内に取り込まれます。
先行研究により肺、血液、胎盤、精巣、さらに脳からもマイクロプラスチックが検出されています。
マイクロプラスチックは水道の処理場では濾過されないほか、植物もマイクロプラスチックを処理するような仕組みを持たないため、環境中のマイクロプラスチックを取り込むことはありません。
マイクロプラスチックの健康への影響はまだはっきりとわかっていませんが、酸化ストレスや神経毒性、生殖毒性、免疫・内分泌機能の変化、心臓病リスクの増加などが指摘されています。
このためニューメキシコ大学公衆衛生カレッジで10年にわたり環境中のプラスチックについて研究してきたクラウディア・プラテシ博士が、生活の中でできる「マイクロプラスチック摂取量を減らす方法」を挙げています。
・水道水を飲む
選べるなら、ペットボトル飲料よりも水道水がよく、浄水器が使えるならさらに一部のプラスチックを除去可能だとのこと。
・プラスチック容器での加熱を避ける
食べ物や飲み物をプラスチック製の容器に入れて加熱すると、化学物質が浸出して食品に浸透します。代わりに、ガラス容器やセラミック容器を使うとベターです。
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・安全な保存容器を使用する
保存に用いる容器はプラスチック製よりもガラス製、セラミック製、ステンレス鋼などがよいとのこと。
・自然食品を選ぶ
缶詰やジャンクフード、加工食品は加工・包装時にプラスチックに曝される機会が多くなるので、食べるなら新鮮な自然食品や加工の少ない食品のほうがベター。
・食品は地元の生産者から購入する
新鮮な果物や野菜を食べるようにして、肉もプラスチック包装されたものは避けたほうがよいとのこと。
・特定のリサイクルコードの商品は避ける
「3:PVC(ポリ塩化ビニル)」は発がん性物質のフタル酸エステルを含み、「6:PS(ポリスチレン樹脂)」は中枢神経系に影響を及ぼすスチレンを含有するので、避けた方がいいとのこと。なお、日本では異なる識別表示が用いられています。
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