夜型人間は朝型人間よりも脳機能が優れているとの研究結果が報告される
一般的に「夜更かしは体に毒」と言われるように、深夜まで起きていると日中の活動に悪影響を及ぼすと考えられています。しかし、インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが2万6000人以上の研究データを分析した結果、夜型の人物は朝型の人物と比べて認知テストでよい成績を残したことが明らかになりました。
Sleep duration, chronotype, health and lifestyle factors affect cognition: a UK Biobank cross-sectional study | BMJ Public Health
https://bmjpublichealth.bmj.com/content/2/1/e001000
Night owls’ cognitive function ‘superior’ to early risers, study suggests | Neuroscience | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/article/2024/jul/11/night-owls-cognitive-function-superior-to-early-risers-study-suggests
Night owls have sharper brain function than so-called morning people, research suggests | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/health/article-13620635/Night-owls-sharper-brain-function-morning-people.html
インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、イギリスのUKバイオバンクに登録されている、知能や推論、反応時間、記憶力に関するテストを完了した2万6000人以上の被験者の調査を実施しました。
研究チームは被験者の睡眠時間や睡眠の質、最も注意力と生産性が高いと感じる時間帯である「クロノタイプ」が脳のパフォーマンスにどのように影響するかについて分析を実施。その結果、夜間に活発に活動する「夜型」の人物と「中間」と分類された人物は、実施したテストにおいて優れた認知機能を持っていることが判明したのに対し、早朝に活動することが多い「朝型」の人物ではテストの点数が3グループの中で最も低かったことが報告されています。
さらに研究チームは、テストの点数と睡眠時間を比較しました。結果として、毎晩7時間~9時間の睡眠をとる人物のパフォーマンスが最も高かったことが明らかとなっています。
研究チームのラハ・ウェスト博士は「今回の研究では、夜間に活動的な『夜型』の人物は、『朝型』の人物よりも認知テストにおいて優れたパフォーマンスを発揮する傾向があることがわかりました。これらのクロノタイプは、単なる個人的な好みではなく、私たちの認知機能に影響を与える可能性があります。自分の睡眠傾向を理解し、それに対処することは重要ですが、睡眠時間が長すぎたり、短すぎたりせず、十分な睡眠をとることも脳の健康にとって重要です」と語りました。
また、研究チームのマー・ダーチン氏は「今回の研究によって、睡眠時間が脳の機能に直接影響することが判明しました。睡眠パターンを積極的に管理することは、脳の働きを高め、保護するために非常に重要です。理想的には、人々の睡眠パターンを改善するための政策介入がみられることを望んでいます」と述べています。
一方で、サリー大学のロイ・カドシュ教授は「この研究では、睡眠が認知に与える影響について言及していません。しかし、多くの人々がそれを理解できず、自身の睡眠パターンを変えてしまうのではないかと危惧しています。また、この研究に基づく政策介入は時期尚早で、研究の正当化のためには異なるアプローチによる別の研究が必要だと思います」と指摘しました。
加えて、ブルネル大学のジェシカ・チェレキス博士も「今回の研究は、研究デザインとしては優れていますが、被験者が認知テストに参加した時刻についての言及が一切ありません。テストの実施時刻は結果に深刻な影響を与える可能性があります。また、研究チームは参加者の学歴を考慮しておらず、この研究結果には限界があります」と批判。さらに「誰もが毎晩質の高い睡眠をとることを目指すべきですが、同時に自分が最も活発に動ける時間を認識し、自分に合った睡眠をとることが重要です」と語りました。
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