OpenAIのサム・アルトマンCEOとハフポスト創設者が新会社「Thrive AI Health」を設立、超パーソナライズされたヘルスコーチAI提供へ
2016年にはGoogleのDeepMindをがん治療に使用する病院が現れるなど、医療は最も早くにAIを活用してきた分野のひとつです。2024年7月8日に、OpenAI関連のファンドであるOpenAI Startup Fundと、HuffPost(旧Huffington Post)の創設者であるアリアナ・ハフィントン氏が立ち上げたテクノロジー企業・Thrive Globalが提携し、専門家レベルのヘルスコーチングAIの提供を目指す「Thrive AI Health」を設立したことを発表しました。
OpenAI Startup Fund & Arianna Huffington's Thrive Global Create New Company, Thrive AI Health, To Launch Hyper-Personalized AI Health Coach
https://www.prnewswire.com/news-releases/openai-startup-fund--arianna-huffingtons-thrive-global-create-new-company-thrive-ai-health-to-launch-hyper-personalized-ai-health-coach-302190536.html
AI-Driven Behavior Change Could Transform Health Care | TIME
https://time.com/6994739/ai-behavior-change-health-care/
ハフィントン氏はX(旧Twitter)へのポストで「サム・アルトマン氏と私は、AIによる『行動変容』がどのように医療を変革しうるかについてのビジョンを共有し、OpenAI Startup FundとThrive Globalが資金提供する新会社・Thrive AI Healthの立ち上げを発表する記事をTIMEに掲載しました。この会社の使命は、AIを使って専門家レベルのヘルスコーチングへのアクセスを民主化し、健康を改善し、拡大する健康格差に対処することです」と発表しました。
Today Sam Altman and I published a piece in TIME sharing our vision for how AI-driven personalized behavior change can transform healthcare and announcing the launch of Thrive AI Health, a new company funded by the OpenAI Startup Fund and Thrive Global, which will be devoted to… pic.twitter.com/Pephsbxepb
— Arianna Huffington (@ariannahuff) July 8, 2024
OpenAI Startup Fundは、OpenAIのサム・アルトマンCEOが以前運営していた投資ファンドです。また、Thrive Globalは健康に関する習慣や行動を改善する「行動変容」に関するテクノロジーを提供する企業で、ハフィントン氏が2016年に創設しました。
アルトマン氏とハフィントン氏が共同でTIMEに寄稿した記事によると、記事作成時点で1億2900万人のアメリカ人が少なくとも1つの慢性疾患を抱えており、年間医療費4兆1000億ドル(約661兆円)のうち90%がその治療に費やされているとのこと。
増大する健康問題に対処するため、「ハイパーパーソナライゼーションされたAI」の力で生活習慣の改善を支援するというのが、Thrive AI Healthの中心的な理念です。
OpenAIは既に、ヘルスケア企業のColor Healthと共同でがん検診や医師による治療計画の作成を支援するAI copilotを開発していますが、Thrive AI Healthは個人ごとにカスタマイズされたAIが直接ユーザーのヘルスコーチになることを念頭に置いています。
具体的には、査読を受けた科学誌とThriveが「マイクロステップ」と呼ぶ行動変容手法でトレーニングされたAIコーチが、ユーザーによって任意に選択された個人データと、睡眠、食事、運動、ストレス管理、社会的つながりの5つの生活習慣についてのユーザーの傾向を学習し、これらに関する改善案をモバイルアプリやThrive Globalのサービスを通じて提供するという仕組みとのこと。
ユースケースとしてアルトマン氏らは「糖尿病を患う多忙なプロフェッショナルは、スケジュールに忙殺されて食事や運動がおろそかになり、そのせいで血糖値の管理に苦労しているかもしれません。医療データと日々の習慣に基づいてトレーニングされたパーソナライズドAIヘルスコーチなら、薬を飲むタイミングを知らせるリマインダーを提供したり、手早く食べられる健康的な食事を提案したり、運動するために短い休みを取るよう促したりできます」と述べました。
新会社のCEOには、GoogleでFitbit by Google Fitnessなどを手がけてきた経歴を持つデカルロス・ラブ氏が就任します。また、研究協定を結んだ設立パートナーにはスタンフォード大学医学部、アリス・L・ウォルトン医科大学、ウェストバージニア大学ロックフェラー神経科学研究所が名を連ねています。
アリス・L・ウォルトン医科大学の創立学部長兼CEOであるSharmila Makhija氏は「Thrive AI Healthやスタンフォード大学医学部と協力し、私たちの教授陣と未来の医師たちを巻き込んで、当校の総合的健康アプローチを反映したAIヘルスコーチの用途を探究できることに興奮しています」と述べました。
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