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ソフトバンク傘下のArmがAIチップの量産を2025年後半に開始予定、数千億円規模の初期開発費用にはソフトバンクも一部出資


イギリスに拠点を置くソフトバンク傘下のファブレス企業「Arm」が、2025年後半の量産開始に向けてAIチップ開発部門の設立を計画していることが報じられています。また、ソフトバンクの旗艦ファンドであるソフトバンク・ビジョン・ファンドでは、かつて主流だったベンチャーキャピタル事業から半導体やAIへの戦略的投資にシフトしていることも指摘されています。

SoftBank's Arm plans to launch AI chips in 2025 - Nikkei Asia
https://asia.nikkei.com/Business/Technology/SoftBank-s-Arm-plans-to-launch-AI-chips-in-2025


Arm to develop AI processors — prototypes ready for spring 2025, says report | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/artificial-intelligence/arm-to-develop-ai-processors-prototypes-ready-for-spring-2025-says-report

Arm plans to launch AI chips in 2025, Nikkei reports | Reuters
https://www.reuters.com/technology/arm-holdings-plans-launch-ai-chips-2025-nikkei-reports-2024-05-11/

SoftBank Sells Off Vision Fund Assets as Son Pivots to AI, Chips - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-05-10/softbank-sells-off-vision-fund-assets-as-son-pivots-to-ai-chips

ソフトバンクグループを率いる孫正義CEOは2023年7月のシンポジウムで「人間の知的能力を超えるAIは、水晶玉で未来を占うように問題を解決できます。日本はその中心でひときわ輝く水晶玉を作らなければなりません」と述べており、ソフトバンクは孫氏が目指す「AI革命」のもとで産業のイノベーション促進を進めています。


ソフトバンクは、同社を一大AIコングロマリットへと変貌させるために約640億ドル(約10兆円)規模の投資を行う「プロジェクト・イザナギ」を推進していることが報じられてきました。その一環として、ソフトバンクが株式の90%を保有するArmにAIチップ部門を設立し、2025年春までにプロトタイプの構築や2025年秋以降の量産開始を目指していることが日本経済新聞によって報じられています。

ソフトバンク創設者の孫正義氏が15兆円の資金を投入してNVIDIAに対抗するAI半導体ベンチャーを設立する「プロジェクト・イザナギ」を推進か - GIGAZINE


数千億円に上るAIチップの初期開発費用はArmが負担し、ソフトバンクも出資するとみられています。AIチップの量産体制が整い次第、AIチップ事業はArmから分社化されてArmの元を離れ、ソフトバンク傘下の新企業として運営される可能性も指摘されています。

AIチップの量産は委託製造業者が担当する予定で、ソフトバンクはすでにTSMCなどと製造について交渉を進めており、生産能力の確保を目指しているとされています。

ソフトバンクはこれまで、ベンチャー企業に出資して株式を取得し、将来的にその企業が上場した際に株式を売却、大きな値上がり益の獲得を目指すベンチャーキャピタル事業を展開してきました。しかし、ソフトバンクは2021年以降、上場価格を下回って株式が取引されていたCoupang Inc.やDoorDash Inc.、Grab Holdings Ltd.などの企業の株式を売却しており、その結果アメリカ株式市場におけるソフトバンクのポートフォリオは約290億ドル(約4兆2500億円)縮小しています。


また、ソフトバンク・ビジョン・ファンドでは100人以上のスタッフを解雇し、新規投資を過去の数分の一のペースにまで減速させ、残されたスタッフで資産の売却や損失の逆転に向けた事業を行っていることも報告されました。

この理由について関係者は「AIや関連ハードウェア事業への進出に備えてファンドのポートフォリオから資産を売却している」と語っています。


日本経済新聞によると、Armが製造したAIチップはソフトバンクが2026年にアメリカやヨーロッパ、アジア、中東に建設する予定のデータセンターで用いられる予定で、これらのデータセンターは膨大な電力を必要とするため、ソフトバンクは発電事業にも乗り出す可能性があるとのこと。また、風力発電所や太陽光発電所の建設のほか、次世代の発電技術である核融合を用いた発電の研究も視野に入れていることが報じられています。

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in ハードウェア, Posted by log1r_ut

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