サイエンス

空手の達人がコンクリートを破壊しても拳が砕けない理由をMITの物理学者が解明していた


空手家が拳や手刀によって何枚もの板や瓦を割る動画をよく見かけますが、「あんなに硬い物を割って、骨は折れないのかな」と疑問に思っている人も多いはず。この疑問について過去にマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが分析しており、1979年には空手で硬いものを破壊する際の物理学的考察をまとめた「The Physics of Karate(空手の物理学)」という題名の研究論文が公開されています。

The Physics of Karate on JSTOR
https://www.jstor.org/stable/24965179

The Physics of Karate - JSTOR Daily
https://daily.jstor.org/the-physics-of-karate/

世の中には壊れやすい板や瓦を用意した空手体験施設なども存在しますが、空手の達人は建築に使われる丈夫な板も割ることができます。例えば、以下のムービーでは分厚い建築用の板材を拳で割る様子を確認できます。

建築用床板3枚重ね!極真世界王者なら思いっ切り殴れば割れる!? - YouTube


また、以下の動画では素手でコンクリートブロックを割る様子を確認できます。

【新極真会】66歳空手家のド肝を抜く肉体と破壊力!  66 YEARS OLD KARATE DEMONSTRATION SHINKYOKUSHINKAI KARATE - YouTube


MITの研究チームが記した「空手の物理学」によると、一般的な木の板を割るには1cm以上曲げる必要があり、木の板を割るには500ニュートンの力が必要とのこと。また、コンクリートブロックは1mm曲げるだけで割れますが、1mm曲げるためには2500ニュートン~3000ニュートンの力が必要です。

一方で、骨を砕くために必要な力は2万5000ニュートンとされています。つまり、人間の骨は木の板やコンクリートよりも圧倒的に硬いため、素手で木の板やコンクリートを破壊しても骨が砕けないというわけです。


研究チームは「拳にマーカーを4個付けて、コンクリートブロックを突く様子を秒間120フレームの高速連写で撮影する」という実験も実施しています。実験で撮影された以下の画像を見ると、拳はコンクリートブロックとの衝撃時にグニャグニャと変形していることが分かります。この変形によって衝撃が吸収されている可能性もあるというわけ。


なお、研究チームの一員であるマイケル・フェルド氏は、1991年に実際の試技を交えながら「空手の物理学」の講義を実施しています。講義の内容は以下の動画で確認できます。

Michael Feld on the Physics of Karate - MIT 1991 - YouTube


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in サイエンス,   動画, Posted by log1o_hf

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