自動車メーカー14社中5社だけがユーザーデータを要求する警察に令状を要求、ユーザーに伝えているのはなんとテスラだけ
現代の自動車には高度なセンサーや技術が搭載されており、ドライバーのプライバシーに関する懸念が高まっています。アメリカの上院議員や規制当局が、自動車メーカーがドライバーの位置情報を警察と共有していることについて調査を行ったと報じられています。
‘Smartphones on Wheels’ Draw Attention From Regulators - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/04/30/technology/regulators-investigate-carmakers-driver-tracking.html
オレゴン州のロン・ワイデン上院議員とマサチューセッツ州のエドワード・J・マーキー上院議員は、連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長に書簡を送り、自動車メーカーがドライバーの位置情報を警察と共有してアメリカ国民のプライバシーが脅威にさらされていることについて調査するよう求めました。特に、ワイデン上院議員は、中絶を受けるために州境を越える人々が明らかになることを懸念しています。
自動車メーカーは一般的に車両の位置情報を保持しているとのこと。例えばヒョンデの場合は最長15年で、過去2年間にヒョンデが警察から受けた45件の位置データ要請のうち、半数以上が盗難車に関するものでした。ワイデン上院議員が個人で14社の自動車メーカーを対象に1年間の調査を行ったところ、警察から過去2年間で1400件以上の位置情報の要請を受けていたことが明らかになりました。
14社のうち、ゼネラルモーターズ(GM)・ホンダ・フォード・テスラ・ステランティスの5社は車の所在地を提供する前に令状を取得することを警察に要求しており、テスラだけが警察から要請を受けたことについて顧客に通知していました。
しかし、トヨタ・日産・スバル・フォルクスワーゲン・BMW・マツダ・メルセデスベンツ・起亜は、令状を必要としない召喚状に応じて、政府機関に位置データを開示していたことを確認しました。ワイデン上院議員らは、これらは10年前にFTCに提出したプライバシー原則におけるドライバーの機密データの保護に関するコミットメントに違反していると主張しています。
また、FTCは2024年3月の報告書で、消費者が衝突回避技術とドライバー支援システムを十分に理解しておらず、不適切な使用により安全性が損なわれ、道路上でリスクをもたらす可能性があると結論付けました。連邦通信委員会(FCC)は、当初は電話会社を対象としていた「安全な接続法」に基づいて自動車メーカーを規制することを提案しています。
さらに、カリフォルニア州は自動車会社に被害者の車へのリモートアクセスを遮断するよう要求する法案を採択する可能性があります。カリフォルニア州のプライバシー規制当局は2023年頃から、自動車のデータ使用について調査を行っているとのこと。
自動車業界は、革新的な技術がもたらす利点と規制との間で板挟みとなっており、さまざまな課題に直面しています。プライバシーの保護と安全性の向上のバランスを取ることが求められる中で、規制当局からの精査は今後さらに強まることが予想されます。The New York Timesは、自動車メーカーが技術の進歩に合わせて、適切なデータ管理とプライバシー保護の方針を確立していく必要があると述べています。
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