サイエンス

アフターファイブにテンションが上がるのは人間の自然な生理現象だということが判明


毎朝ベッドから抜け出す時はグロッキーなのに、仕事や学校から解放される夕方ごろには絶好調になるという人は多いはず。体内時計のリズムと、1日における気分の変動の関係を分析する研究により、人は早朝の時間帯に最も気分が低迷し、夕方に最も高揚することが確かめられました。

Unraveling the interplay of circadian rhythm and sleep deprivation on mood: A Real-World Study on first-year physicians | PLOS Digital Health
https://journals.plos.org/digitalhealth/article?id=10.1371/journal.pdig.0000439

The science behind waking up on the wrong side of the bed | University of Michigan News
https://news.umich.edu/the-science-behind-waking-up-on-the-wrong-side-of-the-bed/

人体には、体温や代謝、就寝と覚醒のタイミングなど体のさまざまな機能を一定のサイクルで調整する概日リズムがあり、体内時計とも呼ばれるこの仕組みは気分やメンタルヘルスに大きな影響を与えています。

これまで、概日リズムの測定には直腸温測定や頻繁な採血など負担の大きい検査が必要でしたが、技術の進歩によりモバイル端末やウェアラブルデバイスを使ったデータの収集が可能になりました。


今回、アメリカのミシガン大学と、複数の医療機関で構成される医療ネットワークのダートマス・ヘルスの合同チームは、病院の研修医2602人から収集したのべ16万8311日分のFitbitデータを分析する研究を行いました。

参加者は、全米の研修医を対象とした「Intern Health Study」という研究に参加している、iPhoneユーザーの研修医の中から募集されました。参加が決まった人には腕に装着するウェアラブルデバイスのFitbit Charge 2が配布され、参加者らはアプリを通じて睡眠、心拍数、歩数のデータを提供しました。また、参加者には1日1回任意のタイミングで、「今日の気分はどうでしたか?」という質問に1~10の数字で応えるアンケートも実施されました。

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2年間の調査が終了した後、研究チームが概日リズムと気分の関係を分析した結果、気分は朝の5時頃に最低となり、その12時間後の17時頃に最高潮に達するサイクルを繰り返していることが判明しました。また、参加者が起きている時間が長ければ長いほど体内時計が気分に与える影響が顕著になることや、起きている時間が長いほど気分は低下することもわかりました。

論文の筆頭著者である、ダートマス・ヘルスの精神科医のベンジャミン・シャピロ氏は「睡眠不足かどうかにかかわらず、気分は朝に最も低くなり、夕方に最も高くなるという自然のサイクルが繰り返されます。これに加えて、睡眠不足だと気分はより落ち込むことになります。つまり、一晩中起きて朝の5時を迎えた人は、朝5時に目が覚めた人よりさらに気分が落ち込んでいるわけです。とはいえ、典型的な1日に当てはめると、朝の5時の気分は17時よりも低くなりがちです」と話しました。


今回の研究の大きなポイントのひとつは、Fitbitsなどのスマートウォッチを使えば、採血や唾液の採取、1日の光の明るさを管理した実験室など、大がかりな手法を用いなくても気分障害の研究や概日リズムが研究できる可能性を示したことです。

ミシガン大学のダニー・フォージャー氏は、「この研究は、私たちの体内時計が気分の上がり下がりに重要な役割を果たしていることに光を当てるとともに、ウェアラブルテクノロジーがメンタルヘルスの問題におけるこれらの要因を探る新しい方法になることを示しています」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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