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労働組合を結成しGoogleとの交渉を目指していたYouTube Musicの請負従業員らが市議会での証言中に契約終了を知らされる


労働組合を結成したYouTube Musicの請負従業員らが、Googleを団体交渉のテーブルに着かせるためテキサス州オースティンの市議会で証言していた最中に、43人のチーム全員がまとめて契約終了となったことが通知されました。労働組合の男性が市議会で演説している最中に、契約終了を知らされたシーンの動画も出回っています。


YouTube lays off 43 unionized Google contractors as they appealed to city council - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2024/03/01/youtube-union-contractor-layoffs/

Cognizant layoffs at Google's YouTube Music in Austin - Austin Business Journal
https://www.bizjournals.com/austin/news/2024/03/01/cognizant-austin-google-layoff-youtube-music.html

YouTube Music employee discusses sudden layoffs | kvue.com
https://www.kvue.com/article/news/local/youtube-music-union-contractors-layoffs-austin-texas/269-3b82e06e-6845-421f-b1d3-61c6f8b35115

IT業界のアウトソーシング企業・Cognizant Technology Solutions(Cognizant)からYouTube Musicに派遣された従業員のチームは2023年4月に、待遇改善を求めてAlphabet労働者組合の下で労働組合を結成しました。YouTube Musicの請負従業員らは、傷病手当がなく最低限の福利厚生しか受け取っておらず、時給もわずか19ドル(約2800円)で仕事を掛け持ちする人もいると主張しています。

労働組合はGoogleとの交渉を求めてきましたが、Google側はあくまで請負従業員らの雇用責任はCognizantにあり、自分たちは請負従業員らと交渉する必要はないと拒否してきました。しかし、アメリカの独立行政機関である全米労働関係委員会(NLRB)はCognizantとGoogleが請負従業員の「共同雇用主」であると裁定し、2024年1月には組合との交渉を違法に拒否したと認定しました。

GoogleがNLRBの裁定について連邦裁判所に上訴する中で、請負従業員らの労働組合は2024年2月29日にオースティン市議会で証言し、Googleに組合と交渉するよう促すための支援を要請しました。ところが、組合員の男性が市議会で演説している中に、「Cognizantから派遣されたYouTube Musicの請負従業員ら43人が一斉に契約満了となった」という知らせが入りました。市議会の様子はオンラインで配信されており、演説中に知らせが入ってきた瞬間の動画も出回っています。

YouTube Music employee discusses layoffs - YouTube


市議会の演説台で、YouTube Musicの請負従業員らの労働組合に対する支援を訴える男性。


ところが、「この戦いを続けるモチベーションをください」と男性が言ったところで、組合員らしき女性が近寄ってきて「たった今、全員解雇された(They just laid us all off)」と告げました。


男性はショックを受けた表情を浮かべています。


一連の流れはオンラインで配信されていたため、ソーシャルメディア上では「Googleが報復のために解雇したのではないか」という声も上がっています。これに対しGoogleの広報担当者は、「彼らはGoogleの従業員ではありません。Cognizantは人員配置を含むこれらの労働者の雇用条件に責任を負っています」と述べ、自分たちは今回の契約終了と関係がないと主張しています。

また、Cognizantもあくまで通常通りの契約終了であると主張。「あの日は誰も『解雇』されませんでした。契約が満了しただけで、オースティンを拠点とする人員は引き続きCognizantの従業員です。プロフェッショナルサービス企業の私たちにとって、プロジェクトの開始と終了は通常の業務です。この契約は予定された期間で終了しました」とコメントしています。なお、従業員らは次の派遣先を探すまで7週間の有給期間が与えられるとのことで、Cognizantは従業員らのサポートを続けると説明しました。


YouTube Musicの請負従業員らが労働組合を結成したことについて、Googleの広報担当者は「Cognizantの従業員が労働組合を結成することに異議はありません。私たちはただ、Cognizantが雇用主として団体交渉に参加するべきだと考えているだけです」とGoogleとしての立場を明確にしました。一方でCognizantの広報担当者は、「私たちは従業員が労働組合を結成する権利を尊重しますが、私たちの哲学は、直接的でオープンな対話と協力をすることです」と述べています。

市議会での演説を担当していたYouTube Musicの元データアナリスト、ジャック・ベネディクト氏は「私は言葉を失い、ショックを受けました。どうしたらいいのかわかりませんでした」「まったく何の警告もありませんでした。私たちは全員、契約が更新されると思い込んでいました」と述べています。


なお、オースディン市議会はYouTube Musicの請負従業員を支援する決議案を賛成多数で可決しましたが、すでにベネディクト氏らとYouTube Musicの契約が終了した以上、この決議案は象徴的なものに過ぎないとのことです。

ベネディクト氏は、労働組合と交渉をする責任はGoogleとCognizant双方に同じだけあり、雇用条件についても同様だと主張。「あの市議会のビデオクリップはあちこちに出回っていて、多くの人々を引きつけています。ただ座って見ているつもりはありません」「戦いはまだ始まったばかりです」と述べ、今後も争い続ける姿勢を見せました。

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