白血病&HIVの両方にかかって寛解した事例を研究施設が報告、世界で5例目
カリフォルニア州のがんに特化した研究施設シティ・オブ・ホープが、HIVと白血病にかかっていた患者の、両方の寛解が確認されたことを発表しました。同じ人物がHIVと白血病の両方に罹患し、両方とも寛解した事例は世界で5例目だとのことです。
NEJM Features Patient Who Achieved HIV, Leukemia Remission
https://www.cityofhope.org/nejm-features-patient-who-achieved-hiv-leukemia-remission
"City of Hope Patient" Who Achieved HIV Remission Shares His Story - YouTube
California Man Free of HIV And Cancer in Astonishing Medical Recovery : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/california-man-free-of-hiv-and-cancer-in-astonishing-medical-recovery
Man in remission from blood cancer and HIV after remarkable treatment | US news | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2024/feb/28/blood-cancer-hiv-treatment
シティ・オフ・ホープが報告したのは、カリフォルニア州デザート・ホット・スプリングス在住のポール・エドモンズさんの事例です。
エドモンズさんは1988年にHIVであるという診断を受けました。「まるで死刑宣告を受けたような気分だった」というエドモンズさんですが、1997年から抗レトロウイルス薬による治療を受け、HIVは検出不能なレベルまで抑制されました。しかし、抗レトロウイルス薬では寛解はしないため、血液中の免疫細胞にはHIVウイルスのDNAが常に存在する状態だったとのこと。
その後、エドモンズさんは「血液のがん」として知られる急性骨髄性白血病を発症。治療の一環として、幹細胞提供を受けることになりました。
シティ・オブ・ホープによると、エドモンズさんは幹細胞提供までの間、強度を下げた化学療法を受けたのち、2019年2月6日にまれな遺伝子変異である「ホモ接合性CCR5デルタ32」の幹細胞の移植手術を受けたとのこと。
手術以降、エドモンズさんに白血病やHIVの兆候は見られず、移植手術から5年が経過したことで白血病の寛解が確認されました。
エドモンズさん(左)とパートナーのアーノルド・ハウスさん(右)
エドモンズさんはすでに抗レトロウイルス療法も受けていませんが、こちらは最後に治療を受けてから3年が経過したところのため、厳密にエドモンズさんがHIVから寛解したと医師が判断するのは2年後の2026年になるとのことですが、シティ・オブ・ホープはエドモンズさんを「白血病とHIVの両方が寛解した世界で5例目の事例」と述べています。
シティ・オブ・ホープによれば、エドモンズさんの事例は、白血病とHIVの両方が寛解した事例の中でも最高齢のもので、またHIVへの感染が31年にわたったのも過去4例より長いものだったとのことです。
なお、「HIV感染から31年以上経過してから寛解」という点については、2022年夏に匿名の形で報告されています。
31年以上もHIV感染者だった男性が幹細胞移植後に寛解、移植時点で63歳のHIV寛解は史上最高齢 - GIGAZINE
エドモンズさんは「多くの医師や、科学者、看護師、療法士の方々のおかげで白血病とHIVが治りました。みなさんには感謝してもしきれません」と語っています。
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