ゼロから立ち上げてコミュニティから高く評価されたオープンソースプロジェクトがMicrosoftによってフォークされ自信喪失した開発者の話

オープンソースソフトウェアの開発では、オリジナルから派生する「フォーク」を行うことが容易ですが、大企業Microsoftにフォークされ、著作権表示が曖昧になってしまったせいで自信を喪失したという個人開発者が心情を吐露しています。
Getting Forked by Microsoft • Philip Laine
https://philiplaine.com/posts/getting-forked-by-microsoft/
フィリップ・レイン氏はオープンソースソフトウェア「Spegel」の開発者です。Spegelはリリースから2年以上で1700人以上のスターと1440万回のプルリクエストを獲得する人気コンテンツで、ある日MicrosoftからSpegelについて話すミーティングの機会を得たそうです。
当初は積極的な話し合いが行われましたが、時がたつにつれてMicrosoft側の熱意が冷めていったのか立ち消えになりました。
ところが、後日開発者向けイベントに参加したレイン氏は、MicrosoftがSpegelを応用した「Peerd」というソフトウェアに言及していることに気づきます。レイン氏がPeerdを調べたところ、間違いなくSpegelのフォークで、READMEの末尾にレイン氏とSpegelへの謝辞が述べられていることがわかったそうです。
正当にフォークするだけであれば問題なかったのですが、Spegelが採用する「MITライセンス」で必須な著作権表示がなく、一部ではSpegelに言及することなくSpegelのコードをそのまま引用しているような箇所がありました。
加えて、Peerdが登場したことで新規ユーザーの間に混乱がもたらされ、Spegelとどう違うのかを聞かれることが増えたといいます。

レイン氏は「Microsoftは巨大なブランドなので、Spegelが存在感を示すのは難しいです。オープンソースのメンテナーとして、私はコミュニティの要望、バグ修正、セキュリティ修正に十分な時間を割いてきましたが、自分のプロジェクトがMicrosoftにフォークされたのを見て、自分はもう役に立たないと感じました。しばらくの間、私はSpegelの作業を続ける価値があるのかどうかさえ疑問に思いました」と語りました。
幸い、引き続き開発に携わっているそうですが、「たった一人のメンテナーがこのような事例にどう対応したらいいのだろうか?」と疑問を呈しています。

レイン氏の報告から間もなくMicrosoftが動き、「Peerd開発者の一部が見落としていた著作権表示を修正する」というプルリクエストを提出。ソーシャルサイトのHacker Newsに以下のコメントを投稿しました。
「私たちは、Spegelにおけるあなたのリーダーシップとコラボレーションに感謝していますし、あなたのプロジェクトがコミュニティの真の課題を解決していることも理解しています。著作権表示にはもっと適切な対応をすべきでした。私たちはプルリクエストを提出し、あなたの帰属を表示します。Peerdが作成された主な理由は、アーティファクト・ストリーミングのサポートを追加するためでした。あなたは当社のエンジニアに『アーティファクト・ストリーミングはSpegelの範囲ではないかもしれない』と伝えていましたが、ごもっともだと思いました。Spegelの取り組み、そしてSpegelがPeerdのインスピレーションの源となったことは間違いありませんが、出典を明記し忘れていました。これは誤りであり、深くお詫び申し上げます」
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