パートナーとの相性問題で用いられる「5つの『愛の言語』」は「パートナーならどの愛の形でもうれしい」という研究結果
作家のゲイリー・チャップマン氏が提唱する「5つの『愛の言語』」は、パートナーとの相性を語るときに用いられている一方で、専門家からは根拠がないと指摘されています。トロント大学のギデオン・パーク氏らは、カップルなどを対象に調査を行い、パートナーからかけてもらうなら自分の好みではない『愛の言語』でもうれしいという結論を示しました。
Popular Psychology Through a Scientific Lens: Evaluating Love Languages From a Relationship Science Perspective - Emily A. Impett, Haeyoung Gideon Park, Amy Muise, 2024
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/09637214231217663
'You cannot put people into arbitrary boxes': Psychologists critique the '5 love languages' | Live Science
https://www.livescience.com/health/relationships/you-cannot-put-people-into-arbitrary-boxes-psychologists-critique-the-5-love-languages
チャップマン氏が1992年に出版した「The Five Love Languages: How to Express Heartfelt Commitment to Your Mate.(愛を伝える5つの方法)」は、ニューヨーク・タイムズなどにも取り上げられて販売数2000万部以上のベストセラーとなりました。
愛を伝える5つの方法 | ゲーリー チャップマン, ディフォーレスト 千恵 |本 | 通販 | Amazon
チャップマン氏は「愛」には「肯定の言葉(称賛)」「充実した時間」「贈り物」「献身」「身体的接触」という5つの言語があって、各人にはそれぞれ好みがあり、同じ愛の言語を好むパートナーとは関係の満足度が高くなると主張しました。
2022年には、パートナーが望む『愛の言語』で愛を伝えている人ほど、関係に満足している可能性が高いという論文が発表されています。
「パートナーが喜ぶ手段で愛を伝える」ことがカップルの関係や性的満足度に関連していることが判明 - GIGAZINE
しかし、『愛の言語』の効果については長らく疑いの声が上がっていました。
トロント大学で心理学を学ぶ博士課程のギデオン・パーク氏らは、この『愛の言語』についての新たな研究を発表しました。パーク氏は「『愛の言語』が時代遅れだと言っているのではなく、科学的根拠が欠如しているということを指摘するものです」と述べています。
パーク氏は、5つの『愛の言語』を比較・対立するものとして考えるのは直感に反するとして、カップルを対象に、『愛の言語』についての調査を行いました。
すると、パートナーが自分好みの『愛の言語』を用いたときに満足度が高まったことがわかりました。これはチャップマン氏の主張を裏付けるものといえそうですが、実際には、自分好みではない『愛の言語』を用いたときも同様に満足度は高まっており、好みにかかわらず、すべての『愛の言語』にはポジティブな効果があるということが示されました。
このことからパーク氏は、恋愛を食事に見立てる、新たな枠組みを提案しています。つまり、炭水化物だけでもしばらくは問題が出ないものの、満足のいった状態を維持するにはタンパク質や脂肪、ビタミンも必要なように、1つの『愛の言語』にこだわらず、自分とパートナーとのニーズにあわせて使っていくことが肝要というわけです。
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