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モデルナのmRNAがんワクチンと抗体医薬品「キイトルーダ」の併用で悪性黒色腫の再発・死亡リスクが半減


アメリカのバイオテクノロジー企業・モデルナが開発した実験用mRNAがんワクチンと、ドイツの医薬品メーカー・メルクの抗体医薬品「キイトルーダ」を組み合わせたところ、術後3年以内の悪性黒色腫の再発または死亡のリスクが49%減少したことが示されました。

Moderna And Merck Announce mRNA-4157 (V940) In Combination with Keytruda(R) (Pembrolizumab) Demonstrated Continued Improvement in Recurrence-Free Survival and Distant Metastasis-Free Survival in Patients with High-Risk Stage III/IV Melanoma Following Complete Resection Versus Keytruda at Three Years
https://investors.modernatx.com/news/news-details/2023/Moderna-And-Merck-Announce-mRNA-4157-V940-In-Combination-with-KeytrudaR-Pembrolizumab-Demonstrated-Continued-Improvement-in-Recurrence-Free-Survival-and-Distant-Metastasis-Free-Survival-in-Patients-with-High-Risk-Stage-IIIIV-Melanoma-Following-Comple/default.aspx


Moderna’s mRNA cancer vaccine works even better than thought
https://www.freethink.com/health/cancer-vaccine

2023年7月、モデルナとメルクはステージIIB~IVの悪性黒色腫(皮膚がんの一種)患者の術後補助療法としてモデルナ製ワクチンの「mRNA-4157(V940)」を既存の抗体医薬品「キイトルーダ」と組み合わせて使用する試験を開始しました。

その結果、治療から3年(中央値)が経過した、特に完全切除後の再発リスクが高いIII/IV期の患者で、キイトルーダ単独療法と比較して悪性黒色腫の再発または死亡リスクが49%減少し、遠隔転移または死亡リスクは62%減少されたことが明らかになったとのこと。


皮膚がんの中でも重篤な形態である悪性黒色腫を治療するために、医師は通常、外科的に可能な限りがんを切除することから始めます。その後、化学療法や放射線療法などの別の治療を行い、取り逃がしたがん細胞を死滅させるのですが、種類によっては再発のリスクが高く、特に厚いものや、治療前に転移しているものを除去しきれない可能性があります。

モデルナが作成したワクチンは、がん細胞上にのみ存在するタンパク質「ネオアンチゲン」を作るよう身体に指示することで、免疫系にそのタンパク質を持つ新しいがん細胞を素早く識別して攻撃する準備を整えさせ、再発を防げるというものです。


モデルナのグローバル臨床開発責任者であるマージョリー・グリーン博士は発表にあたり「高リスク黒色腫患者において、このように強固な臨床的有用性を示したことに興奮しています。これは治験中のmRNAがん治療薬の有効性を初めて証明したものであり、キイトルーダ単剤と比較して有意な利益を示した初めての併用療法でした。これらのデータを、疾患の影響を受けている人々や、より広範な科学コミュニティと共有できることを楽しみにしています」と述べました。

モデルナのCEOによると、同ワクチンは一部地域で2025年までに早期承認で発売できる可能性があるとのことです。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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