GoogleのチャットAI「Bard」でYouTube動画の内容を要約させることが可能に、コンテンツ作成者に悪影響が及ぶ懸念も
Googleが開発したチャットAIの「Bard」は、2023年3月のリリース後もどんどん改良が重ねられています。9月には画像をアップロードして詳細を尋ねる機能が追加されたほか、GmailやGoogleドキュメントの内容をBardの回答に含められる「Bard Extensions」も発表されました。新たに、BardがYouTubeに投稿された動画の内容を理解できるようになり、動画を要約させたり内容について質問したりすることが可能になりました。
Google’s Bard YouTube extension just got a lot smarter - The Verge
https://www.theverge.com/2023/11/22/23972636/bard-youtube-extension-update-search-video-content
Google Bard gets better YouTube understanding - Android Authority
https://www.androidauthority.com/google-bard-youtube-understanding-3388018/
Google's Bard AI chatbot is getting better at understanding YouTube videos
https://www.engadget.com/googles-bard-ai-chatbot-is-getting-better-at-understanding-youtube-videos-065614540.html
Bardは2023年9月に追加された「Bard Extensions」により、特定のトピックに関連するYouTube動画を表示することなどが可能になりました。ただ、動画の内容について詳細な質問をすることはできなかったのですが、2023年11月のアップデートによってBardはYouTube動画の内容をより深く分析するようになり、動画の要約や内容に関する質問について回答するできるようになりました。
海外メディアのThe Vergeは、料理系YouTubeチャンネルのAmerica's Test Kitchenが投稿したエスプレッソを使ったカクテル「エスプレッソ・マティーニ」のレシピ動画を使い、Bardの新機能をテストしました。その結果、材料の完全なリストと手順をBardが説明してくれたそうです。
以下がテストに用いられたレシピ動画。
How to Make the Best Espresso Martini | What's Eating Dan? - YouTube
実際にどのような結果が得られるのか試してみました。プロンプトは以下の通り。最初に「Please give me the recipe for this YouTube video step by step.(このYouTube動画のレシピを順を追って教えてください)」と明記し、その後にYouTube動画のタイトルとURLを入力しています。
Please give me the recipe for this YouTube video step by step.
How to Make the Best Espresso Martini | What's Eating Dan? - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=iCNVvPB6zVI
すると、以下のように動画中に登場した材料や手順を説明してくれました。
Bardの回答と動画内容を見比べた結果、手順についてはかなり正確であることがわかりました。一方、材料については動画中だと「vodka(ウォッカ)」ではなく熟成したラム酒が使われており、0.75オンス加えるのは「Kahlua(カルーア)」ではなくベネディクティンで、0.5オンス加えるのは「simple syrup(単シロップ:砂糖水)」ではなくコーヒーリキュールであるといった問題点もあり、そのままうのみにしてしまうのは危険という印象です。
しかし、The Vergeはいくつかのステップを踏むことで材料や指示がすべて正確な回答を引き出せたと報告しており、うまい聞き方を考案できれば精度を上げることも可能かもしれません。
The Vergeはこの機能が非常に便利であることを認めつつも、YouTubeに投稿されたレシピ動画から材料や手順に関する詳細なテキストが得られる場合、動画の再生回数が減ってしまう可能性があると指摘。また、America's Test Kitchenの場合は詳細なレシピがウェブサイトの有料コンテンツとして用意されており、Bardがこれらの収益モデルに影響を与える危険性があるという懸念を示しました。
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