ポーカーだけで生活できていたプロプレイヤーが辞めた理由とは?
インドではカジノおよびオンラインカジノが盛んで、「ポーカーをプレイしてその勝ち分で稼ぐ」ことで生計を立てるプロポーカープレイヤーも多く存在しています。2018年から2021年までポーカーで生計を立てていた人物が、成功していたポーカーのキャリアを捨てて一般企業に就職した理由を語っています。
Farewell to the felt | Quitting the full-time Poker scene - Team-BHP
https://www.team-bhp.com/forum/shifting-gears/273208-farewell-felt-quitting-full-time-poker-scene.html
主に自動車に関するレビューやニュースを提供するインドのウェブサイトTeam-BHPのフォーラムに、「crazy_coyote166(以下、コヨーテ)」というユーザーがプロポーカープレイヤーをやめた経緯について投稿して話題になっています。コヨーテ氏は2018年からカジノでポーカーをプレイすることで稼いでおり、2020年にはプロダクトマネージャーを務めていた電子商取引企業を辞職してポーカーだけで生計を立てることができるようになりました。しかしわずか1年後、ポーカーを辞めて元の業界に再就職しました。
最初に、元の仕事を辞めてポーカーに専念することを選んだ理由をコヨーテ氏は2点挙げています。1点目は、どこにいてもアクセス可能なオンラインカジノや、いつでも快適な環境のカジノに、自分でスケジュールを決めて参加するというライフスタイルが理想的なものに感じられたということ。2つ目は金銭的な点で、インドのあらゆる仕事の中でもプロポーカーとして成功したキャリアは最高峰のもので、20代の若者が就ける仕事とは比較にならないほど高額を稼ぐことができたからだそうです。
しかし、実際にフルタイムでポーカーの仕事をするようになって、想像していた2点の理想は完全に誤っていると気づいたとのこと。まず、ポーカープレイヤーとしては最も基本的な点として、プレイする回数、時間、頻度などが重要になります。そのため、自由なライフスタイルとはほど遠く、1日12~16時間ほどスクリーンの前に座ってボタンをクリックし続ける生活が続いたとコヨーテ氏は語っています。
さらに、ゲームとしてのポーカーは完全に意味をなくし、「勝ってもほとんど喜べないが、負けると大いに傷つく」という状態に陥ってしまったそうです。大きく勝った日があっても、その週の内に10倍の金額を失う可能性すらあり、1年を通してマイナスで終わってしまうことも十分にありえます。ただポーカーをするのではうまくいかないため、精神的にも肉体的にも最高の状態を保つ必要があり、コヨーテ氏は週に3回のメンタルコーチングセッションや、週に最大20時間の理論コーチングや手さばきの研究などを実施していました。そのため、一般的な日雇い仕事よりもはるかに多忙なスケジュールとなり、結果として「時給換算だと高くても、労力を考えたら割に合わない」ということになってしまいます。
また、それでも「日雇い仕事の10倍の日当」「辞職する前の仕事の給料よりかなり大きい月収」にはなりますが、そこにもいくつか注意点があるとコヨーテ氏は指摘しています。プレイヤーとしての能力が上がって高額を稼ぐことができるようになると、稼ぎもスキルも「頭打ち」になるピークが訪れます。そこからジャンプアップするには、ごく限られた優秀なプレイヤーと競う必要があり、世界最高峰のレベルが求められます。一方で、技術者として務めていた場合は急激な稼ぎの増加は見込めなくても、時間と共に徐々に給与は増加していき、一部の人に偏ることのない公平な給与を受け取ることができます。
加えてコヨーテ氏は、ポーカープレイヤーから一般企業での仕事に戻った最大の理由として、精神的な点をいくつか挙げています。ポーカーは非常に孤独なゲームで、自分の結果に対して自分だけで責任を負いますが、企業で賢い人たちと仕事して得られる知見や刺激、コラボレーションによって得られる成果は、何者にも変えがたい価値があるとコヨーテ氏は述べています。また、1日の終わりに銀行口座の数字が増えていることしか得られない人生ではなく、何か具体的なものが構築されていく喜びも大きいとコヨーテ氏は話しています。
そのほか、ポーカーや投資などのコミュニティでは一般的に認識されている問題として、毎日自分の資産を賭けて勝負していると、快楽に関係するとされる神経伝達物質であるドーパミンの基礎レベルがめちゃくちゃになり、精神的健康が悪化します。結果として、以前は楽しんでいたものに興奮できなくなるという問題もコヨーテ氏は指摘しています。
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