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Raspberry Pi 5に純正アクティブクーラーは必須なのか?クーラーの有無で温度がどう変化するのか検証してみた


Raspberry Pi 5」の出荷が2023年10月23日に始まり、GIGAZINE編集部でもRaspberry Pi財団からサンプルを提供してもらいました。GIGAZINE公式DiscordサーバーでRaspberry Pi 5について知りたいことを募集した結果、「発熱が気になる」という意見が多く寄せられたので、高負荷時の各種チップの温度や純正アクティブクーラーの有無で温度がどう変化するかを確かめてみました。

Raspberry Pi 5 – Raspberry Pi
https://www.raspberrypi.com/products/raspberry-pi-5/

◆技適についての前置き
今回使うRaspberry Pi 5はRaspberry Pi財団からGIGAZINE編集部に直接送られてきたもので、技術基準適合証明を受けていません。そこで、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」の届出を行っています。なお、日本では代理店による技適申請の後でRaspberry Pi 5が発売される予定なので、一般ユーザーが技適について気にする必要はありません。


◆純正クーラー装着時の発熱をチェック
Raspberry Pi 5にはRaspberry Pi財団により純正クーラー「Raspberry Pi Active Cooler」が用意されています。純正クーラーは工具を使わず装着可能で、SoCや電源管理チップ、無線管理チップを冷却可能。Raspberry Pi Active Coolerの外観や装着手順、装着時のHATとの干渉などについては、以下の記事に詳しくまとめています。

「Raspberry Pi 5」に純正アクティブクーラーを装着して冷却部位やHATとの干渉具合をチェックしてみた - GIGAZINE


純正クーラーの裏面にはサーマルパッドが3枚貼られており、無線管理チップ、SoC、電源管理チップを冷却できます。


Raspberry Pi 5に純正クーラーを装着し、アイドル状態で室温25度の部屋に放置した際の温度変化が以下。青色の線がCPUの温度、オレンジ色の線がRP1(I/O管理チップ)の温度、赤色の線がファンの回転数を示しています。CPUの温度は45度~50度の間を推移しています。


アイドル状態の外装の温度を赤外線サーモグラフィーで測定してみます。クーラーの表面に光沢がありサーモグラフィーで温度を測定するのに適していないため、黒いビニールテープを貼り付けて測定しました。


クーラーの表面は37.1度。


電源管理チップ周辺は55.4度でした。


続いて、システムに負荷をかけるソフトウェア「stress」をインストールし、「stress -c 4」というコマンドを実行してCPUの全コアを100%使用した状態にして温度を測定しました。測定時のシステム状況を「htop」で確認するとこんな感じ。


温度とファン回転数の推移は以下の通り。CPU温度は60度前後を推移しました。


クーラー表面の温度は上昇していません。


電源管理チップ周辺は59.6度まで上昇していました。


◆純正クーラー未装着時の発熱をチェック
続いて、純正クーラーを取り外して温度の変化を確認してみます。


アイドル状態の温度はこんな感じ。クーラー装着時はCPUの温度は45度~50度の間を推移していましたが、クーラー未装着だと60度を超えました。


続いて、赤外線サーモグラフィーで温度を測定します。温度を測定しやすいように、SoCと無線管理チップの表面に黒いビニールテープを貼りました。


SoCの表面は64.0度。


無線管理チップの表面は54.5度。


電源管理チップの表面は63.4度でした。


次に、「stress -c 4」を実行して高負荷時の温度変化を記録したグラフが以下。負荷をかけ始めてから約100秒でCPU温度が80度を超え、その後は85度前後を推移するようになりました。公式ドキュメントによると、Raspberry Pi 5ではCPU温度が高くなった際に性能を制限して温度上昇を抑えているとのこと。このため、CPU負荷の大きい作業を継続的に実行したい場合はクーラーを用意するのが良さげ。ただし、公式ドキュメントには「冷却は必須ではありません。冷却せずともRaspberry Piに害はありません」とも記されています。


SoC表面の温度は85.1度。


無線管理チップの表面は78.1度。


電源管理チップの表面は65.9度でした。


◆おまけ
Raspberry Pi 5の純正アクティブクーラーの回転数は基本的には自動で制御されますが、以下のファイル内の数値を書き換えると回転数を指定できます。

/sys/devices/platform/cooling_fan/hwmon/hwmon2/pwm1


例えば、以下のコマンドを実行するとファンの回転数が約8000rpmになります。ただし、「回転数を指定しても自動的にもとの回転数に戻る」「回転数指定コマンドを連打すると回転数を固定できることもある」といったように不安定な動作になるので自己責任で実行してくだい。

echo 250 > /sys/devices/platform/cooling_fan/hwmon/hwmon2/pwm1


◆フォーラム開設中
GIGAZINEの公式DiscordサーバーではRaspberry Pi 5関連のフォーラムを開設しています。以下のリンク先から誰でも書き込み可能なので「○○が気になるな~」といった内容をドシドシ書き込んでください。

• Discord | "「Raspberry Pi 5」がGIGAZINE編集部に届いたのでレビューするけど何が知りたい?" | GIGAZINE(ギガジン)
https://discord.com/channels/1037961069903216680/1166304963497041981

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in レビュー,   ハードウェア, Posted by log1o_hf

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