「自動運転は人間のドライバーより圧倒的に事故率が低い」とGM傘下のCruiseが主張、事故件数は65%減&ケガのリスクを伴う事故も74%減
近年は自動運転技術の進歩が目覚ましく、すでにアメリカの一部では自動運転車を公道で走行させる社会実験が進んでいますが、自動運転車が事故を起こしたり道路交通を混乱させたりする事例が報告されており、交通当局が企業に対して走行する自動運転車の削減を求める事態も起きています。そんな中、自動運転企業Cruiseの親会社であるゼネラルモーターズ(GM)とミシガン大学交通研究所、バージニア工科大学交通研究所が共同で、「自動運転車が人間の運転する車より安全なことを示すデータ」を公開しました。
Establishing a Crash Rate Benchmark Using Large-Scale Naturalistic Human Ridehail Data
https://deepblue.lib.umich.edu/handle/2027.42/178179
A Comprehensive Study - Human Ridehail Crash Rate Benchmark | Cruise
https://getcruise.com/news/blog/2023/human-ridehail-crash-rate-benchmark/
Today we are publishing a white paper that presents the human driver crash rate we use as a safety benchmark.
— Kyle Vogt (@kvogt) September 27, 2023
It is the most precise study of human driving performance ever conducted, and it shows @Cruise AVs outperform humans in a comparable driving environment. More ????(1/5) pic.twitter.com/nupCbv1s7b
Cruiseの共同創業者兼CEOを務めるカイル・フォークト氏はXへのポストで、「本日、私たちは安全のベンチマークとして使用する『人間のドライバーの衝突率』を示すホワイトペーパーを発行します。これは、人間の運転パフォーマンスについてこれまで実施された中で最も正確な研究であり、Cruiseの自動運転車が同等の運転環境において人間よりも優れていることを示しています」と述べています。
GMはアメリカの主要な交通研究センターであるミシガン大学交通研究所およびバージニア工科大学交通研究所と協力して、都市環境における人間の運転パフォーマンスを測定する研究を実施しました。
研究に使用されたデータは、ミシガン大学交通研究所とバージニア工科大学交通研究所が2016年~2018年にかけて、GM傘下のカーシェアリングサービスであるMavenの車や、その他研究に同意した一部のドライバーから取得したものです。走行データの対象範囲は一部の高速道路を除くサンフランシスコ全域で、合計の走行距離は561万1765マイル(約900km)にのぼります。
総走行距離を走行中に発生した事故件数で割ると、人間のドライバーは1万5414マイル(約2万5000km)に1回の割合で事故を起こしていることが判明。これは、100万マイル(約160万km)あたり64.9回の事故を起こしている計算になります。
研究チームは、人間のドライバーが起こす事故のリスクをより正確に理解するため、事故の責任や事故によってケガが起きるリスクについても調査しました。たとえば、信号待ちの際に発生した軽い接触事故と、赤信号を猛スピードで突っ込んだ衝突事故では、関係者がケガをしたり死亡したりするリスクが圧倒的に違ってきます。
研究チームはケガのリスクが高い事故を抽出するため、衝突前後の速度変化を表すデルタVに着目。速いデルタVで発生する事故は、より遅いデルタVで発生する事故よりもケガのリスクと強い相関があるとのことで、「レベル0:デルタVが時速20マイル(36km)以上」「レベル1:デルタVが時速12.5~20マイル(20~36km)」「レベル2:デルタVが時速5マイル~12.5マイル(8~20km)」「レベル3:デルタVが時速5マイル以下」の4段階に分類し、事故を分類しました。
その結果、ケガのリスクが高いレベル2・レベル1・レベル0の事故は66件発生していたことがわかりました。これを総走行距離で割ると、8万5027マイル(約13.7km)に1回、あるいは100万マイルの間に11.76回の割合でケガのリスクがある衝突事故が発生するという結果になりました。
また、2021年の全米における交通事故統計や入手可能な衝突データから、「事故に巻き込まれた車両が事故に対して負う責任は、平均すると約50%である」と導きだし、発生した事故の責任割合を相殺したとのこと。こうして研究チームは、大まかな推定として3万828マイル(約5万km)に1回、100万マイルの間に32.45回の事故がドライバーの責任で起きたと推定しています。
今回の研究で導き出された「人間のドライバーが交通事故を起こすリスク」を示した表が以下。
事故1回あたりのマイル数 | 100万マイル(160万km)で発生する事故件数 | |
---|---|---|
全事故 | 1万5414マイル(約2万5000km) | 64.9回 |
責任事故 | 3万828マイル(約5万km) | 32.45回 |
リスク高の事故 | 8万5027マイル(約13.7km) | 11.76回 |
さらにこのデータを、Cruiseがサンフランシスコ全域を合計100万マイル走行して収集した事故データと照合したグラフがこれです。赤色がCruiseの自動運転車を示しており、100万マイルあたりの事故件数は23件と人間比で65%減、責任のある事故は94%減、ケガをするリスクが高い事故の割合は74%減となっています。
フォークト氏は、「この調査は、現在の配車分野における人間の運転の安全性を理解するのに役立ち、Cruiseが道路にもたらす安全性のプラスの影響をより深く理解できるようになります」と述べました。
This research helps us understand the status quo of human driving safety in the ridehail space, and enables us to better understand the positive safety impact Cruise has on the road. (4/5)
— Kyle Vogt (@kvogt) September 27, 2023
・関連記事
自動運転車の交通事故件数ナンバー1はテスラ、2位がホンダで3位はスバル - GIGAZINE
テスラが主張する「オートパイロットは一般の車よりも3.7倍安全」という主張をデータサイエンティストが詳細に分析 - GIGAZINE
テスラの自動運転システムは「主張よりもはるかに危険」なことが事故データを正規化することで明らかに - GIGAZINE
自動運転車は突然飛び出してくる歩行者や自転車との衝突を避けるためのテストを何度も繰り返している - GIGAZINE
元GoogleのWaymoの自動運転車は「人間を超える事故回避能力」とのシミュレーション結果 - GIGAZINE
完全自動運転のロボタクシーがひき逃げされた歩行者をさらにひいてしまう事故が発生 - GIGAZINE
Waymoの自動運転タクシーが小型犬と衝突して死亡させる事故が発生、「避けられない事故だった」とWaymoは主張 - GIGAZINE
無人の自動運転車と衝突したドライバーは通報せず逃げることが多い - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in 乗り物, サイエンス, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article ``Autonomous driving has an overwhelming….