砂糖はニキビの原因なのか?
「甘い物を食べ過ぎるとニキビが増える」という説は広くささやかれており、実際に甘い物を控えたらニキビが改善されたという経験がある人もいるはず。ところが、砂糖とニキビとの関連はそれほど単純なものではないそうで、本当に砂糖を控えることがニキビ対策に有効なのかどうかを科学系メディアのLive Scienceが解説しています。
Can sugar cause acne? | Live Science
https://www.livescience.com/health/food-diet/can-sugar-cause-acne
「ニキビを治そう」と思って甘い物を控えた経験がある人は多いはずですが、ニキビはホルモンレベルや皮脂腺、皮膚細胞の凝集、皮膚の微生物叢(そう)、ストレス、食事といったさまざまな要因の相互作用で発生します。そのため、砂糖を摂取しないようにしたからといって、その人のニキビが改善するとは限らないとのこと。
ワシントン大学の皮膚科医であるターニャ・グレイワル氏はLive Scienceへのメールで、「一般に、食生活の改善のみがニキビ患者に対する唯一の治療法として推奨されることはありません。多くの場合、外用薬や内服薬も必要になります」と述べています。
しかし、実際に中国やフランス、トルコなどで行われた研究では、砂糖の摂取とニキビとの間に相関関係があることが確認されました。とはいえ、これらはあくまで観察研究であり、「砂糖の摂取がニキビを生じさせる」という因果関係を示したものではないため、その他の要因が影響している可能性があるとのこと。
Live Scienceは、「多くのニキビ研究には実験設計の欠陥があり、結果の解釈が難しいため、決定的な結論を引き出すことは困難です」と指摘。たとえば、被験者が自己申告で「ニキビがある」と言っていたとしても、それは毛包炎のように見た目がニキビと似ている別物の可能性もあるそうで、ニキビがない人も研究に含まれている場合があるとのこと。
また、食事とニキビの相関関係について調査した研究では、何を食べたのかは主に被験者の自己申告に依存します。しかし、イギリス皮膚科医協会の広報を務めるアンジャリ・マフト氏は、「人々は自分が食べたものの種類や量を正確に記録するのがあまり得意ではありません」と述べ、自己申告に依存する調査には限界があるとしています。
調査はある特定の期間にのみ行われる傾向があるため、食事パターンの長期的な変化とニキビの改善についての関連を知るのは困難です。加えて、甘い食べ物には乳製品やカカオなど、ニキビに影響を及ぼす可能性がある他の成分も含まれていることが多々あるため、本当に砂糖が原因なのかどうか特定するのも難しいとLive Scienceは指摘しています。
それにもかかわらず、人々はニキビ治療のために甘い物を控えるという選択肢を採用しがちです。その理由についてマフト氏は、「人々は自分が実行可能でコントロールできることをやりたがるものです」と述べ、食生活の変化は比較的容易に実行できるからだろうとみています。
ニキビの引き金になり得る砂糖以外の要因としては、ストレスホルモンであるコルチゾールの蓄積は皮脂の分泌量を増やし、ニキビを悪化させる可能性があるといわれています。他にも多嚢胞性卵巣症候群やインスリン抵抗性、男性ホルモンの過剰分泌など、ニキビを引き起こす疾患や状態もありますが、これらは自分の意思でコントロールすることが困難です。
また、テストステロンやその副産物であるジヒドロテストステロンといった男性ホルモンは、男女ともにニキビの主な引き金です。これらのホルモンは皮脂の分泌を増加させ、毛穴が詰まりやすくなり、結果としてニキビの原因であるアクネ菌が繁殖しやすい状態を作るとされています。
Live Scienceによると、血糖値の急激な上昇を引き起こす高GI食品や甘い物はインスリン反応を引き起こし、これが男性ホルモンの産生を促進するインスリン様成長因子(IGF-1)の分泌量を増やすとのこと。そのため、理論的には高GI食品や甘い物を食べると男性ホルモンの分泌が促され、ニキビができやすくなると考えることができます。
インスリン反応を抑えるには食物繊維を同時に摂取することが有効であるため、砂糖を食物繊維と一緒に食べるとニキビができるリスクを抑えられる可能性があります。しかし、ニキビに関連する要因があまりにも多いため、確かに「砂糖の摂取はニキビの原因のひとつ」と考えることはできるものの、他の要因と比較検討することは難しいとLive Scienceは述べています。
マフト氏は、ニキビ患者は治療のために皮膚科医に相談するのではなく、食生活を自分で変えることがよくあるものの、栄養不足になるほど食事を制限する懸念もあると指摘。「肌のためによい食事をすることは、体の他の器官のためによい食事をするのと同じです」と述べ、食事を過剰に制限するべきではないと結論付けました。
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