一般的なプラスチック添加物が自閉症やADHDと関連している可能性
自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)の要因は多岐にわたります。ASDまたはADHDの子どもたちを調べた新たな研究により、これらの障害に、一般的なプラスチック添加物の「ビスフェノールA(BPA)」が関与している可能性が指摘されました。
Bisphenol-A and phthalate metabolism in children with neurodevelopmental disorders | PLOS ONE
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0289841
Common Plastic Additive Linked to Autism And ADHD, Scientists Discover : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/common-plastic-additive-linked-to-autism-and-adhd-scientists-discover
BPAは多くのプラスチックやプラスチック製造工程で使用されている「可塑剤」に分類される物質で、食品や飲料のボトルにも含まれています。BPAについては、既存の研究で乳がんや不妊症など、ホルモンの乱れを伴う健康問題との関連も指摘されています。
ローワン大学の研究者らが66人のASDの子どもおよび46人のADHDの子ども、37人の健康な子どもを対象に尿検査を行ったところ、ASDやADHDの子どもたちは、BPAやフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)と呼ばれる類似化合物を他の子どもたちほど効率よく排出することができず、その毒性作用に長くさらされる可能性があることが判明しました。
DEHPも、BPAと同様、食品用容器を始めとするプラスチックに使われている物質です。本研究ではDEHPとBPAの解毒効率がASDとADHD患者両方で低下していることが確かめられましたが、統計的に有意な差が出たのはBPAのみでした。
研究に携わったピーター・スタイン氏は「ASDやADHDの子どもたちでは、これら2つの可塑剤の解毒作用が低下していることがわかりました。この結果、子どもたちの体は2つの可塑剤に長くさらされることになります」と記しています。
ASDやADHDがどのようにして発症するのか、例えば出生前の胎内で物質に暴露されることにより発症するのか、あるいは出生後の食事に関連付けられるのかを示すにはデータが不十分であるため、正確な特定作業が続けられています。
スタイン氏は「可塑剤を由来とする発症可能性が、障害の全体的な発生においてどの程度重要であるかは不明ですが、それでもかなりの割合を占めているはずです」と指摘しました。
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