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映画の脚本をAI学習に流用する代わりに使用料を脚本家に払うことで暫定的な合意に至ったことがハリウッドのストライキ問題で明らかに


アメリカの脚本家を代表する組織であるアメリカ脚本家組合(WGA)の東西支部が映画製作者協会(AMPTP)に対して賃金上昇や労働環境の改善、人工知能(AI)使用の規制を要求するために2023年5月から約5カ月間におよぶストライキを行っていました。現地時間の2023年9月25日、WGAはAMPTPとの間で暫定的な合意に至ったことを発表しました。

Memorandum of Agreement for the 2023 WGA Theatrical and Television Basic Agreement
(PDFファイル)https://www.wgacontract2023.org/wgacontract/files/memorandum-of-agreement-for-the-2023-wga-theatrical-and-television-basic-agreement.pdf


Hollywood Studios, Writers Continue Talks Sunday as Deal Nears - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-09-24/hollywood-studios-writers-close-to-deal-but-ai-issue-lingers

Writers Strike Ends: Union Leaders Vote to Conclude 2023 Work Stoppage – The Hollywood Reporter
https://www.hollywoodreporter.com/business/business-news/writers-guild-strike-end-1235600992/

Barry Diller says fair use needs to be redefined to address AI
https://www.cnbc.com/2023/09/26/barry-diller-says-fair-use-needs-to-be-redefined-to-address-ai.html

ハリウッドの脚本家約1万1500人が所属するWGAは、AMPTPに対してストリーミング配信による収益を正当に配分することや労働環境の改善を要求するとともに、AIの使用を規制することを訴えていました。WGAは「作家の基本報酬など組合の最低限の基本合意を示したMinimum Basic Agreement(MBA)下にあるプロジェクトでは、AIの使用を規制する」ことを主張しており、ジェネレーティブAIが文学的な資料を書いたり修正したりするほか、MBA下にある脚本などの資料をAIのトレーニングに流用することに制限を加えるように要求していました。


WGAとAMPTPの交渉は約6週間続きましたが、最終的な合意には至らず、2023年5月1日からWGAはストライキを決行しています。

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WGAによるストライキは148日間にわたって行われましたが、2023年9月24日に行われたAMPTPとの交渉で暫定的な合意に至ったことをWGAが発表しました。AMPTP本社で行われた交渉には、ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOやNetflixのテッド・サランドスCEOらが出席したとのこと。

暫定的な合意の内容についてWGAとAMPTPは詳細を公表していませんが、海外メディアのBloombergによると、AMPTP側はテレビ番組に一定数の脚本家を起用し、脚本家の数は1シーズンのエピソード数に応じて増加することで両者は合意したとのこと。また、ストリーミング配信で人気が出た作品については、脚本家がボーナスを受け取る仕組みを作成することで暫定的な合意に至ったことを報じています。


一方でAI使用の規制に関しては、テレビ番組や映画の製作における費用の削減に直結するため交渉が難航していたとのこと。海外メディアのウォール・ストリート・ジャーナルは「製作会社がAIツールを採用して脚本をAI学習に利用、またはAIを用いた脚本の作成を行った場合、学習元になった脚本家に使用料を支払うことで暫定的な合意に至ったようです」と報じています。

WGAによるストライキ中は、脚本家による台本の売り込みや販売、会議への参加、メモへの返信などが禁止されていましたが、今回の暫定的な合意によって約12人のメンバーが仕事に復帰できるようになります。WGAは「今回のストライキがもたらした影響力が、AMPTP側を交渉のテーブルに引き戻しました。今回の暫定的な合意は組合員にとって有意義な利益と保護を得られる重要な合意です」と述べ、交渉による成果を強調しています。

今回の暫定的な合意を受けてWGAでは、2023年10月2日から10月9日の間に組合員間での投票が行われます。組合員による承認を得た上で、AMPTPとの間で正式な合意が結ばれることが報告されています。


WGAによるストライキに加え、記事作成時点でハリウッドでは映画俳優組合-米国テレビ・ラジオ芸能人組合(SAG-AFTRA)に所属する俳優やスタッフもAMPTPに対して、賃上げや労働環境の改善、AI使用の規制を訴えるストライキを2023年7月から行っています。今回のWGAとAMPTP間での暫定合意を受けて、SAG-AFTRAによるストライキ問題が進展することが期待されています。

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一方でSAG-AFTRAは2023年9月25日に「WGAとAMPTP間で暫定合意に至ったことをお祝いします。我々SAG-AFTRAはこれからもストライキを続け、引き続き必要な条件を達成することに全力を尽くします」との声明を発表しています。

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in メモ, Posted by log1r_ut

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