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物語で「食べ物」を描写する際に意識すべきポイントとは?


フィクションの執筆でもエッセイの執筆でも、「食事」のシーンは日常の象徴としてしばしば登場します。エッセイストでフードライターのアリシア・ケネディ氏が、食べ物と食事に関する描写の奥深さと複雑さについて解説しています。

Alicia Kennedy on Navigating the Thorny Terrain of Food Writing ‹ Literary Hub
https://lithub.com/alicia-kennedy-on-navigating-the-thorny-terrain-of-food-writing/


食べ物について描写する時、例えば工業生産のための森林伐採や、漁業のためのマングローブの破壊のような一見すると食事とは関係なさそうな問題でも、読者にとっては身近な食料品に関係してきます。ケネディ氏は、食べ物について書くことで、キッチンやレストランで見るメニューだけではなく、労働者の権利や気候変動、生物多様性の問題、企業の貪欲さなどの複雑な事項について、読者に力を与えて勇気づけることができると述べています。

ケネディ氏は著書「No Meat Required: The Culture History and Culinary Future of Plant-Based Eating(肉の要らない植物食の文化史と料理の未来)」の序文で、「食のテーマで誰かを信頼するには、その人の個人的な食事経歴と食欲について知る必要があります」と書いています。これは、「食べ物があなたの人生においてどのような目的を果たしているのか」ということを重視する考え方です。


またケネディ氏は、親身になって読者に料理について伝える方法として、「言葉だけでなく、身体や味覚、まな板の上に向かう時間を互いに委ねています」と表現しています。ケネディ氏はエッセイストとして、文化批評家として、あるいはフードライターとして食べ物に関して書く時に、読者に「自分は何を食べるのか」を考えさせる必要があると考えているとのこと。時には料理の作り方を的確に指導しようとする必要があり、結局のところ、読者に食べさせるためにその食べ物をよく知る方法として、自分が作ってみたり食べてみたりする必要があります。この書き手と読み手の間にあるジレンマこそが食べ物について執筆する重要なポイントとなっています。


ケネディ氏は元ヴィーガンで、ヴィーガン向けのパン屋でオーナーを務めた経験もあり、著書ではヴィーガン文化の歴史や代替食品の研究などについて、理解を深めると共に急進的な部分を議論しています。また、ケネディ氏はコーヒーショップやワインバーに勤務した経験もあり、それが料理に対する知識と意識に生きているとのこと。

ケネディ氏は自身の食事経歴に「特別な忠誠心はありませんでした」と述べつつも、「そこには、食べる人としてだけではなく、給仕人、料理人として経験した多くのことと、おいしいものへのこだわりが含まれています。これら全てが私の視点にとって有益な知識です」として、食べ物について執筆する際に自身の経験を生かすことの重要さを語っています。文化史のようなスタイルであっても客観的な言及に限定することなく、自身の経験とこだわりを生かした回想録のような要素を織り込んで書くことで、食べ物に関して優れた書き方になるとケネディ氏は話しています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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