サイエンス

出産したばかりの女性は無関係なパターンが顔に見える「パレイドリア現象」を起こしやすいという研究結果

by Trevor Hurlbut

パレイドリア」と呼ばれる心理現象は、無秩序な雲の形から人間の顔を思い浮かべるような現象です。クイーンズランド大学とサンシャインコースト大学の研究チームが、実際に顔が存在しないにもかかわらず、顔を思い浮かべるパレイドリア現象は出産したばかりの女性で起こりやすいという研究結果を発表しました。

Preliminary evidence of an increased susceptibility to face pareidolia in postpartum women | Biology Letters
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2023.0126


Women May See More Illusory Faces After Childbirth, Study Finds : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/women-may-see-more-illusory-faces-after-childbirth-study-finds


The reason new mothers see faces in inanimate objects
https://www.telegraph.co.uk/news/2023/09/13/new-mothers-faces-inanimate-objects-face-pareidolia/

これまでの研究では、認知症患者パーキンソン病患者がパレイドリア現象を起こしやすいことが報告されていました。

また、人工のオキシトシンを人間に投与すると、目や鼻など、さまざまな顔からの信号に対する感受性を高めることができるとの研究結果も報告されています。

そこで、研究チームは体内でのオキシトシン量がピークに達する出産直後の期間の女性におけるパレイドリア現象について調査を行いました。


400人以上の女性を対象に行った実験では、人間の顔に見える可能性のある画像320枚を被験者に提示。その後被験者は0(顔にはまったく見えません)から10(間違いなく顔に見えます)の11段階でのアンケートに回答しました。

研究チームは得られたデータを「出産直後の女性」「妊娠中の女性」「妊娠経験がない女性」の3つに分けて分析を行いました。すると、直近1年間で出産したばかりの女性は、妊娠経験がない女性や妊娠中の女性よりも「顔に見える」と回答する傾向が強いことが判明しました。

以下は研究チームが報告した、提示した画像と被験者の回答のスコアです。左下のピンチハンガーの画像では、全被験者の平均スコアは0.79、「妊娠中の女性」では平均0.45だったのに対し、「出産直後の女性」のスコアは平均1.09と、パレイドリア現象を起こしやすいことが報告されています。


研究チームのジェシカ・タウベルト氏は「今回の実験で、出産直後の女性は妊娠中の女性よりもパレイドリア現象に直面しやすいことが明らかになりました」と報告。さらに「育児初期に感受性が高まることで、母と子の社会的な結びつきが強くなる可能性が示唆されています」と述べています。

また、研究チームは「今回収集されたデータは、顔に見えるパターンに対する私たちの感受性がバラバラであることを示しています。オキシトシンの量によって成人期を通じてパレイドリア現象の起こり方は変化する可能性があり、さらなる研究が必要です」と語っています。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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