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IAEAが福島第一原発のALPS処理水放出システムをモニタリングできるウェブページを公開中


2011年の東日本大震災で発生した津波で甚大な被害を受けた福島第一原子力発電所から、多くの放射性物質を含む汚染水が発生しました。この汚染水を他核種除去設備(ALPS:Advanced Liquid Processing System)によって環境放出の規制基準を満たすまで浄化処理した「ALPS処理水」の海洋放出が2023年8月24日(木)から始まり、ALPS処理水の放流システムをモニタリングできるウェブページが国際原子力機関(IAEA)によって公開されています。

Data from Fukushima Daiichi ALPS Treated Water Discharge | IAEA
https://www.iaea.org/topics/response/fukushima-daiichi-nuclear-accident/fukushima-daiichi-alps-treated-water-discharge/tepco-data

ALPS処理水の放流がどのように行われているのかについて、IAEAは以下のアニメーションで解説しています。

Handling of ALPS Treated Water - Video animation - YouTube


ALPS処理水は放流施設のタンクに送られたあと、必要に応じて二次処理施設で再度浄化処理が行われ、トリチウム(三重水素)以外の放射性物質が規制基準値以下になることが確認されます。なお、トリチウムが放出する放射線は非常に弱いベータ線で、体内にほとんど蓄積せず、外部被ばくによる人体への影響も考えられないレベルだと環境省は述べています。


規制基準値以下であることが確認されたALPS処理水は計測用のタンクへ送られ、放出準備が整ったら放出用タンクに移されます。


ALPS処理水は放出用タンクからパイプを通して移送されます。


この処理水を移送するパイプにはポンプでくみ上げた海水が加えられ、処理水を希釈します。


処理水はその場で排水するのではなく、1kmの長さもあるトンネルを通り、2011年以来商業漁業が制限されている区域内に放流されます。


IAEAは放出用タンクの後の施設、海水混入前のパイプ、海水くみ上げ用ポンプ、放流直前の貯水槽で放射線の計測を行っており、その結果をモニタリング用ページで公開しています。なお、モニタリングページで使われているデータはIAEAが直接計測しているのではなく、東京電力から送られているものであることに留意する必要があります。

表示されるモニタリング用インフォグラフィックが以下。数値と共に色で計測結果の評価が示されており、緑色が「システムが問題なく動作しており、東京電力からIAEAに報告されているデータが予想レベル内である」、灰色が「放流システムのうち該当部分が動作していない、あるいはメンテナンス中である」、赤色が「東京電力からIAEAに報告されているデータが異常なレベルにあり、東京電力による対処が必要である」ことを示しています。記事作成時点では、すべての計測ポイントが緑色となっていました。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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