HPが「プリンターがインク切れを起こすとスキャンやファックス機能まで使えなくなるのは不当」との訴訟に直面
by Jo Zimny Photos
HP製の複合機において、「インクが少なくなると書類のスキャンやファックスすらできなくなることをユーザーに明示しないことは不当だ」と主張する訴状が、2023年2月にアメリカ連邦裁判所に提出されました。その後、2023年8月10日に裁判所はHPからの訴訟の取り下げ請求を却下したことが報じられています。
freund-hp-amended-complaint.pdf
(PDFファイル)https://regmedia.co.uk/2023/08/11/freund-hp-amended-complaint.pdf
Judge denies HP's request to dismiss printer lockdown suiit • The Register
https://www.theregister.com/2023/08/11/judge_denies_hps_request_to/
Lawsuit claiming HP all-in-one printers are defective can proceed | Reuters
https://www.reuters.com/article/hp-printers-lawsuit-idTRNIKBN2ZM0ZS
ゲイリー・フロイント氏ら原告は「HPはインク切れ時にスキャンやファックスなど、印刷以外の機能も使えなくなるソフトウェアを複合機に搭載し、購入者に対してその情報を隠していた」と主張しています。また、「文書のスキャンやファックスの際にインクが必要ないことは周知の事実で、HPにはインク切れの際でもスキャンやファックスが可能な複合機を製造することは可能なはずです」と述べ、2023年2月に裁判所に対して訴状を提出しました。
訴状の中でフロイント氏らは「サポートフォーラム上でHPがユーザーに伝えた『HPの複合機は、カートリッジが空またはカートリッジが未装着の場合、動作しないように設計されています』という文言は、HPが意図的にインク切れの複合機の動作を無効にしていることを示しています」と訴えています。
また、フロイント氏らは「この欠陥の存在を知っていたら、そもそもプリンターを購入しなかったか、もっと安くで購入していました」と述べています。
by Christiaan Colen
フロイント氏らの訴えに対してHPは訴訟を取り下げることを要求。しかしアメリカ連邦裁判所のベス・ラブソン・フリーマン裁判官は「HPによるサポートフォーラムへの投稿は、インクがなくなると特定の機能が使えなくなるようにプリンターを設計したという原告の主張を補強する事実です」と(PDFファイル)述べ、HPによる訴訟の取り下げ要求を却下することを決定しました。
さらにフリーマン裁判官は、HPにはインク切れ時の機能制限をユーザーに開示する必要があったことや、機能制限は保証期間内に発生した欠陥であるとの判断を下しました。
同様の訴訟は2021年にキヤノンに対しても行われており、原告側の主張は「キヤノン製の多機能型プリンターがインク切れを起こすとスキャナー機能やファックスも使えなくなるのは不当」というものでした。その際原告のデビッド・リークラフト氏はキヤノンに対して「キヤノンがオールインワンプリンターの販売促進のために、通常の状況下でもスキャナーやファックスとして使えると表示したのは、虚偽の詐欺的な製品ラベルや広告の使用に当たる」と述べ、最低500万ドル(約7億2000万円)の賠償を求め、後に非公開の金額で和解が成立したことが報じられています。
キヤノンが集団訴訟に直面、「プリンターがインク切れするとスキャン機能まで使えなくなるのは詐欺」との訴え - GIGAZINE
HPの一件を報じた海外メディアのThe Registerは、今回の訴訟についてHPに対して問合せを行いましたが、回答は得られなかったことを明かしています。
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