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「Instagramの埋め込みは著作権侵害に当たらずInstagramはその責任を負わない」という判決が下る


「自身が投稿した画像が、Instagramの埋め込み機能を用いてニュースサイトの記事内に使用されたことは著作権侵害だ」という写真家のアレクシス・ハンリー氏とマシュー・ブラウアー氏による訴えに対し、アメリカ第9巡回区控訴裁判所は、「写真や動画が埋め込まれている場合、プラットフォームは著作権侵害の責任を負うことはない」との判決を下しました。

Hunley v. Instagram, LLC, --- F.4th ---- (2023)
(PDFファイル)https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/legaldocs/jnvwwglmmvw/frankel-hunleyvinstagram--9thcircuitopinion.pdf


Instagram dodges photographers' copyright claims on appeal – but case likely continues | Reuters
https://www.reuters.com/legal/transactional/column-instagram-dodges-photographers-copyright-claims-appeal-case-likely-2023-07-18/


Instagram Not Liable For Copyright Infringement Over Embedded Images * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/instagram-not-liable-for-copyright-infringement-over-embedded-images-230718/

Instagram embeds don’t violate copyright laws, court rules - The Verge
https://www.theverge.com/2023/7/19/23800141/instagram-copyright-infringement-embedded-images

裁判の発端となったのは、2016年にニュースメディア・Timeが公開した「These Photographers Are Covering the Presidential Campaign on Instagram」というタイトルの記事の中で、ブラウアー氏が投稿したヒラリー・クリントン氏の写真がInstagramの埋め込み機能を用いて使用されていたことです。また、BuzzFeed Newsも同様に、ハンリー氏が撮影したブラック・ライヴズ・マターに関する写真を2020年に掲載した記事の中に埋め込んでいました。

ハンリー氏とブラウアー氏は「TimeとBuzzFeed Newsが適切なライセンスを取得せずに、自身の写真を自社の記事に埋め込んだ」と主張。さらに両氏は「Instagramには著作権侵害を制御または阻止するための努力が欠けているだけでなく、著作権で保護された画像を埋め込む機能を用いて、サードパーティのウェブサイトを意図的に支援、誘導しました」と述べ、Instagramに対して著作権侵害や著作権侵害のほう助に基づく訴訟を提起しました。

以下が実際にInstagramの投稿を埋め込んだ一例。


これまで、この種の法的論争は「著作物がどこから配布されるのか」に焦点を当てる「サーバーテスト」と呼ばれる論点で争われてきました。各種SNSが提供する埋め込み機能を使った場合、著作物はあくまで「そのサービスのサーバー」からダウンロードされています。つまり今回のケースでいえば、「TimeやBuzzFeed Newsの記事には、Instagramのサーバーからダウンロードされた両氏の写真が表示されていた」というわけ。


このことから、多くの裁判所が「著作権で保護された作品をユーザーに配布したり表示したりしていない」と認定して、「埋め込みは直接的な著作権侵害には当たらない」という判断を下してきました。

「Instagramの埋め込みは著作権侵害に当たらない」という判決が下る - GIGAZINE


今回のハンリー氏とブラウアー氏による裁判の審理においても「サーバーテスト」の判例が用いられました。最終的にアメリカ第9巡回区控訴裁判所は「両氏がInstagramに画像を投稿することで、Instagramのサーバーにはこれらの画像のコピーが保存されました。Instagramはこれらの画像を表示するための非独占的なサブライセンスを保有しており、埋め込み機能を用いたことで表示された画像について、Instagramによる著作権の侵害にはあたりません」との結論を下しました。

また、アメリカ第9巡回区控訴裁判所は「TimeとBuzzFeed Newsは、著作権で保護された画像を埋め込んではいるものの、その画像を保存しているわけではありません」とハイパーリンクの性質に触れ、「両メディアは直接的な著作権侵害を犯していません」との判断を行っています。


一方で両氏は「今回の判決では、著作権を保有する人物が作品を管理し利益を得る能力について、法律上の問題が数多く残されています」と指摘し、再審理を請願する可能性を示唆しています。

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in ネットサービス, Posted by log1r_ut

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