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Twitterのコミュニティノートは「正確な情報源」として十分に機能していないと内部告発者が指摘


Twitterでは誤解を招く情報やデマ情報の拡散を防止するために、ユーザー同士で評価し合ってファクトチェックを行える「コミュニティノート」機能が2022年12月から正式に導入されています。しかし、コミュニティノート機能は、Twitterにはびこるスパムやウソの情報を効果的に対処するには不十分だと、Twitterでコミュニティノートの運営に携わっていたニティッシュ・パフワ氏が指摘しています。

Twitter’s Community Notes: What I saw when I joined Elon Musk’s supposed truth army.
https://slate.com/technology/2023/07/twitter-community-notes-elon-musk-fact-checking.html


コミュニティノート機能は誤解を招く可能性のあるツイートに対してユーザーがツイートの文脈を説明する「ノート」を残すことができる機能です。これらのノートは、ツイートに添付して公開される前に多数のユーザーからの「役に立った」という評価を受ける必要があります。十分な数の「役に立った」評価が集まらなかったノートは、評価不足あるいは「役に立たない」と判断されて、非公開のままとなります。

ツイートのファクトチェックをTwitterユーザーみんなの力で行う「コミュニティノート」が日本を含む全世界で利用可能に - GIGAZINE


パフワ氏は「コミュニティノートは、一般的なツイートと同様に真面目で有益なノートから、荒らしや偏見、デマに満ちたノートまで数多く存在します」と述べ、「コミュニティノート機能は、Twitterにはびこるスパムやウソの情報を効果的に対処するには不十分です」と述べています。

イーロン・マスク氏が2020年アメリカ合衆国大統領選挙に関する陰謀的なツイートに対して「プラットフォームのシステムが修正します」と報告したにもかかわらず、そのようなツイートが変わらず散見されることをパフワ氏は指摘。また、パフワ氏はマスク氏がナンシー・ペロシ下院議長の夫の襲撃事件に関する根拠のない陰謀説を共有した件などを取り上げ、「コミュニティノートは多種多様な思想を持つグループから十分な評価を得ることに苦労しており、政治的に偏った、誤った情報に効果的に対処するのは困難です」と述べています。

パフワ氏によると、コミュニティノート機能は一部の思想家や活動家によって操作されており、正確性が無視されているとのこと。右派的な思想を持つWall Street Silver氏は「ボランティアの左派的な活動家が私のツイートに不正確なノートを付けようとしています」と非難しています。


右派的活動家のアンディ・ンゴ氏は「左翼的なユーザーはノートを付けられることを回避するためにブロック機能を利用しています」と主張。ンゴ氏の主張に対してマスク氏は、ブロック機能を完全に廃止することを提案しているとのこと。


また、マスク氏が性的少数者に関する誤解を招くようなツイートをした際には多くの批判が集まりました。


マスク氏は「もしも私の意見が間違っていたらコミュニティノート機能で修正してください」と述べたものの、マスク氏のツイートに対してノートが付与されることはありませんでした。


一方でマスク氏はコミュニティノート機能をTwitterの将来を保証する重要なツールだと主張し続けており、大統領選挙に関する誤解を招く記事や放送中の虚偽の発言で訴訟に直面しているタッカー・カールソン氏について言及し、「コミュニティノートは虚偽の情報を修正することに役立ちます」と主張しています。


しかし、実際にはカールソン氏のツイートに対するノートは、どれも十分な数の「役に立つ」評価が集まっておらず、さらなる評価が必要であることが報告されています。

パフワ氏は「マスク氏によるTwitter買収前に構築されたコミュニティノート機能は、マスク氏自身のウソでさえも見逃しています。このような状況でTwitterは本当に最も正確な情報源になりえるのでしょうか」と指摘しています。


2021年1月に「Birdwatch」の名前で発表されたTwitterのファクトチェック機能は「誤った情報に対するコミュニティベースのアプローチ」として開始されました。しかし、2022年9月に内部告発者のペイター・ザトコ氏によって、Birdwatchにはコンテンツモデレーション対策が行われていないことと、開発メンバーに「Qアノン」と呼ばれる極右的な思想を持つ人物が含まれていることが報告されており、コンテンツに思想のゆがみが発生する危険性があることが指摘されていました。

2022年10月にマスク氏によってTwitterが買収された後、Birdwatchは「コミュニティノート」に名前を変え、2022年12月から同様のサービスが全世界に展開されました。マスク氏は当時「Twitterの情報精度を向上させるかつてない可能性を秘めています」と語っていました。


しかし、コミュニティノートは全体の96%にあたる約3万件のノートが表示されないままになっていることが指摘されています。また、パフワ氏は「コミュニティノートにおける問題点は、ファクトチェックが完全にユーザー依存になっている点です」と述べています。

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in ネットサービス, Posted by log1r_ut

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