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オンラインゲームに28%もの税金を課すとインド政府が決定し業界に衝撃が走る


インド政府が同国内で15億ドル(約2100億円)もの市場規模を持つオンラインゲームに対して28%の税金を課すと発表しました。これに伴い、クリケットなどのリアルスポーツの試合チケットが値上げされる可能性があります。

India deals a 28% tax blow to online gaming industry | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/07/11/india-online-gaming-gst-tax/


gst council: 28% GST on online gaming 'unconstitutional, irrational, egregious', says industry - The Economic Times
https://economictimes.indiatimes.com/tech/technology/28-gst-on-online-gaming-unconstitutional-irrational-egregious-says-industry/articleshow/101675764.cms

india: India's online gaming industry hit with 28% tax - The Economic Times
https://economictimes.indiatimes.com/tech/technology/indias-online-gaming-industry-hit-with-28-tax/articleshow/101675723.cms

'Implementation of 28% GST rate will bring challenges to online gaming industry' | Mint #AskBetterQuestions
https://www.livemint.com/economy/implementation-of-28-gst-rate-will-bring-challenges-to-online-gaming-industry-11689091580915.html

インドでは国民的スポーツであるクリケットなどを題材としたリアルマネーを賭けて遊ぶファンタジースポーツが人気を博しており、人気の高いクリケットチームがファンタジースポーツ開発スタートアップを支援するというケースもあります。しかし、ゲームアプリが依存症を引き起こしたり、経済的損失につながったりする懸念も高まっているとのこと。

こうした懸念を受け、2023年初頭にインド政府は賭博サービスを提供するオンラインゲームを取り締まるためにIT法を改正しました。これに伴い、インド政府はゲーム業界に対して自主規制機関の設立を命じています。しかし、インドのオンラインゲームは「スキルべースのゲームである」と主張し、規制から逃れてきました。

これに対して、2023年7月にインド政府の財務大臣をトップとする物品・サービス税評議会(GST)が、オンラインゲーム・カジノ・競馬に対して28%の税金を課すと発表しました。GSTは、「スキルを競うゲーム」と「運を競うゲーム」を区別すべきではないとして、「スキルべースのゲームである」として規制から逃れてきたオンラインゲームに対して、高額な税金を課すこととなります。なお、GSTの議長を務めるニルマラ・シタラマン財務大臣は、オンラインゲーム全体への高額な課税について「広範な議論の末に決定された」と述べました。


オンラインゲームはインドで最も急速に成長している消費者向けのインターネットビジネスのひとつで、投資会社のTiger GlobalAlpha Wave Globalが資金援助する評価額80億ドル(約1兆1000億円)超のDream Sportsや、Sequoia Indiaが支援するMobile Premier Leagueは、2社合わせて数十億ドル(約数千億円)の資金調達に成功しています。

Mobile Premier League、Gameskraft、Paytm First Games、Zupee、Nazara、Rushといったインドで人気のファンタジースポーツで活躍するプレイヤーを代表する業界団体・全インドゲーミング連盟のローランド・ランダースCEOは、GSTの決定について「違憲であり、不合理であり、ひどいものである」と批判しました。


ランダースCEOは「この決定はインドのゲーム業界全体を消滅させ、数十万の雇用喪失にもつながるでしょう。そして、この課税の恩恵を受けるのは反国家的な違法オフショアプラットフォームだけでしょう」と言及しています。

また、インドのゲームアプリ開発企業であるIndia Playsのアディティア・シャーCEOは、「28%の税率導入はゲーム業界に重大な課題をもたらすでしょう。この税負担の増加は企業のキャッシュフローにも影響を与えるはずです」と述べ、課税による負担をリアルスポーツのチケットを値上げすることで解消しなければならない可能性があるとの見方を示しました。

なお、インドではオンラインゲームの収益が約20億ドル(約2800億円)にも達すると見込まれており、そのほとんどがリアルマネーを用いた賭けが可能なゲームによるものでした。以下のグラフは年度別のインドのオンラインゲーム市場の収益をまとめたもので、順調に市場規模が拡大してきていることがよくわかります。


インドのニルマラ・シタラマン財務大臣は、GSTがインドのIT省と連携してオンラインゲームカテゴリの策定を進めると言及。さらに、「我々は今後も電子情報技術省(MeitY)が規制として導入したいと考えているものに従う予定です」としました。

Gameskraftのアムリト・キラン・シングCSOは、業界専門家の中には税率を18%にすればゲーム業界にとって有益だった指摘し、オンラインゲーム業界により20万以上の雇用が創出されていることを覚えておく必要があると述べました。

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in ゲーム, Posted by logu_ii

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