メモ

動物や人間の骨に囲まれたマヤ文明のカヌーが水中洞窟の奥で発見され儀式用に使われていたとの仮説が立てられる


古代マヤ文明の遺跡周辺から2021年に発掘されたカヌーについて、考古学者らが「儀式的に使われたものである」との仮説を打ち立てました。カヌー周辺では人間や犬、七面鳥など38体分にもなる多数の骨が見つかっています。

Antigua canoa descubierta en el salvamento arqueológico del Tren Maya habría tenido uso ritual
https://www.inah.gob.mx/boletines/antigua-canoa-descubierta-en-el-salvamento-arqueologico-del-tren-maya-habria-tenido-uso-ritual


Maya canoe surrounded by animal and human bones found in 'portal to the underworld' in Mexico | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/maya-canoe-surrounded-by-animal-and-human-bones-found-in-portal-to-the-underworld-in-mexico

2021年、メキシコにある古代マヤ文明時代の遺跡「チチェン・イッツァ」周辺の水面下4.6メートルにある水中洞窟の奥深くで木製のボートと骨が発見されました。ボートの大きさは2.15メートル、幅45cm、高さ36.5cm。周辺にあった骨は、人間の女性のものと思われる足の骨や、アルマジロ、犬、七面鳥、ワシなどの動物の骨を含んでおり、こうした特殊な状況から、儀式の供物をのせるために使われたか、あるいは単に地下水をくみ上げるために使われたのではないかと発見当時は考えられていました。


この遺物について研究を進めたメキシコ国立自治大学の研究グループは2023年6月28日に改めて研究成果を発表し、アルマジロの骨の多さと人間の足の存在から、このカヌーは儀式の際に使用されたもので、意図的に洞窟の中に置かれた可能性があるとの見解を示しました。

研究者らによると、アルマジロは水中で息を止め、爪を使って前進することができる優れた遊泳能力を持つ動物として知られており、また古代マヤの人々にとって洞窟やセノーテ(陥没した穴)は冥界の入り口だと信じられていたことから、古代マヤの人々はアルマジロを置くことで「鎧(よろい)を着た動物が冥界に入った」と考えていたのではないかと推測されるとのこと。


フランス国立科学研究センターの考古学者、アレクサンドラ・ビアール氏は「マヤの陶磁器には『神々の腰掛け』としてアルマジロが描かれているものがあるので、この見解も妥当性があると考えられます」と述べました。


また、カヌー自体も神聖な儀式の一部として使用されていたと考えられています。というのも、このカヌーの船首と船尾は非常に重く、急流での航行は困難で、航海に耐えるものではなかった可能性が高いからです。

発見当初は西暦830年から950年の間のものと推定されていましたが、炭素分析の結果、この船の木材は16世紀のものであることが判明しています。現場周辺からは年代測定に影響を与えるマイクロプラスチックが存在する可能性が指摘されているため、今後再び潜水を行い、水中に沈んだ木や骨の追加サンプルを採取することが計画されています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
考古学者が1000年以上ジャングルに隠されていた古代マヤ文明の都市を発見し「オコムトゥン(石柱)」と命名 - GIGAZINE

マヤ文明のエリート外交官の栄華と没落が発掘調査により明らかに - GIGAZINE

古代マヤ文明の「819日周期の暦の謎」がついに解明か、45年もの期間における天体の運行と同期していることが判明 - GIGAZINE

ポンペイ遺跡で「ピザのようなもの」が描かれた壁画発見、研究チームは「トマトとチーズがない」とピザ説を否定 - GIGAZINE

in Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.