サイエンス

性器には「軽い接触」や「振動」を感じるのに特化した神経構造がある


人体には「存在は確認されているものの機能が明らかになっていない器官や構造」が数多く存在しています。生殖器や口腔(こうくう)などに点在する「クラウゼ小体」も機能が不明な神経構造の1つだったのですが、新たにハーバード大学医学大学院の研究チームによってクラウゼ小体が「生殖行動に重要な振動および触覚のセンサー」である可能性が示されました。

Krause corpuscles of the genitalia are vibrotactile sensors required for normal sexual behavior | bioRxiv
https://doi.org/10.1101/2023.06.14.545006


Mysterious Structures Appear to Play Unique Role in Sexual Pleasure : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/mysterious-structures-appear-to-play-unique-role-in-sexual-pleasure

クラウゼ小体は神経がカプセル状に集まった構造をしており、生殖器や唇、舌などに点在しています。クラウゼ小体は1850年頃にドイツの解剖学者ヴィルヘルム・クラウゼによって発見されたのですが、詳細な機能は明らかになっていませんでした。


研究チームはクラウゼ小体の機能を明らかにするべく、「メスのマウスの陰核」と「オスのマウスの陰茎」の切片を染色してクラウゼ小体の数を数えました。その結果、陰核と陰茎にはほぼ同じ数のクラウゼ小体が存在していることが判明。ただし、陰茎は陰核とくらべて体積が大きいため、クラウゼ小体の密度は小さいことが明らかになりました。


続いて、研究チームは電気生理学的手法やカルシウムイメージングを用いてクラウゼ小体が「軽い接触」および「40~80Hzの振動」に敏感に反応することを突き止めました。研究チームの一員であるLijun Qi氏は研究結果をもとに「生殖器に存在するクラウゼ小体は性行動に必要な振動触覚センサーです」と述べています。


マウスでの実験結果をそのままヒトに当てはめることができませんが、ヒトが生殖器への軽い接触や振動に反応するのはクラウゼ小体が関係している可能性があります。

2024年6月21日追記:
当該論文が査読を通過してNatureに掲載されました。

Krause corpuscles are genital vibrotactile sensors for sexual behaviours | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07528-4


論文は大きな注目を集めており、Natureのコラムでも取り上げられています。

Sensory secrets of penis and clitoris unlocked after more than 150 years
https://www.nature.com/articles/d41586-024-02058-5

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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