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新車の平均価格を250万円以上も下回る電気自動車が登場する予定


2023年4月16日、G7気候・エネルギー・環境相会合にて「化石燃料使用の段階的削減」が採択され、2050年までのCO2排出量「実質ゼロ」に向けての目標が定められました。世界各国で化石燃料の使用が削減されつつあるなかで、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンといった化石燃料を使用する自動車から電気自動車への移行も進みつつあります。これに伴い、電気自動車の販売価格が徐々に低下しており、2024年に登場する次世代電気自動車は既存の新車の平均価格より250万円近く安くなると見られています。

The $25,000 EV is coming, with big implications for car buyers
https://www.cnbc.com/2023/04/16/the-25000-ev-is-coming-with-big-implications-for-car-buyers.html


CNBCによると、2024年に登場する予定のテスラの電気自動車は2万5000ドル(約330万円)~3万ドル(約400万円)の価格で発売されると予想できるとのこと。アメリカの平均新車価格は4万8763ドル(約650万円)であるため、CNBCの見込みが正しければ、既存の車よりはるかに安い電気自動車が大衆の手に渡ることになります。

他にもシボレー・ボルトやボルトEUV、日産リーフなどの低価格帯の電気自動車が多数販売され始めており、これらはいずれも平均販売価格が3万ドルほどで展開されています。また、フォルクスワーゲンは欧州市場向けに2万5000ユーロ(約370万円)以下のモデル「ID.2」を発表しており、フィスカーはアメリカで2万9900ドル(約400万円)のクロスオーバー車「PEAR」を発売する予定。GMも2023年秋までに3万ドル以下のシボレー・エクイノックス電気自動車を出荷する予定としています。

なお、2023年3月時点での各電気自動車の価格は以下の通り。シボレー、MINI、マツダなどがおおむね4万ドル(約540万円)以下に収まっています。


こうした既存の車よりも低価格の電気自動車は、市場ではやり始めた新しい経済モデルの一つであり、今後数年間で60以上の新しい電気自動車が登場するとアナリストは指摘。特にコンパクトセダンの市場で競争が勃発するとみられますが、生産ラインでどこまでコストを削減できるのか、低価格帯の市場競争をどのように勝ち残っていくのかといった課題も立ち上がります。

消費者にとっても低価格帯の電気自動車は魅力ですが、これらには1回の充電で走行可能な航続距離が短いなどの問題もあります。ただし、自動車メーカーにとってはバッテリーの小型化という側面はコスト削減の中で避けて通れないこともあり、フィスカーのCEOなどは決算説明会で自社の電気自動車について「都市部では短距離移動が一般的なので、消費者は低コストと引き換えに航続距離が短くても受け入れるかもしれない」との展望を語り、消費者の受け入れを望んでいます。


テスラはコストの削減方法について「新設する大工場の建設」と「大型で平らなバッテリーを車の床としても使う」という2種類の方法があると話しているとのこと。また、テスラは自社でソフトウェアやバッテリーも開発していることから他の自動車メーカーよりもコスト削減が可能になるとして、生産コストを半分にまで減らせると主張しています。

また、低価格帯の電気自動車で収益を獲得するには、各車に「オプション」を用意するのが一番手っ取り早いのではないかとアナリストは推測しています。テスラは自動運転機能をオプションとして提供しており、キーフォブを用いたリモートスタート機能座席のヒーターをサブスクリプションとして提供する企業もあります。他にも、座り心地の良い高級座席やよりパワフルなバッテリー、その他一般的に車に付けられるオプションを盛り込むことで、低価格帯の車でも十分収益を稼げることができるのではと考えられています。


CNBCは「電気自動車の普及は、環境的、経済的、そして政治的にも画期的な出来事となるでしょう」と述べました。

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in 乗り物, Posted by log1p_kr

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