巨大かつ知能の高い「スーパー豚」の脅威が深刻なほど拡大している
家畜の豚とイノシシを交配させた「スーパー豚」は信じられないほど知的で捕まえにくく、作物や家畜に被害を与える重大な脅威として広まっています。カナダの野生豚研究プロジェクトは、スーパー豚がどれくらいカナダに広がってどのような脅威になっているのか、分布図に示すことでその侵略っぷりを明らかにしています。
Photos: Canada's Invasive Pig Population is Exploding | Field & Stream
https://www.fieldandstream.com/conservation/canada-super-pig-population-graphics/
Q&A with Canadian Wild Pig Researcher Ryan Brook | Field & Stream
https://www.fieldandstream.com/conservation/canada-wild-pig-expert/
1980年代に農家がイノシシと家畜の豚を交配して作ったとされるスーパー豚は、雪の下にトンネルを掘って寒い気候を生き抜くことができたり、大きいもので300kgにもなる巨体を持っていたり、人間の行動を察知すると夜間に活動するほどの高い知能を持っていたりと、捕獲が困難になっています。野生豚研究プロジェクトを率いるライアン・ブルック氏は「今や豚は非常に広範囲に生息しており、数も多くなってきたため、根絶が可能だという希望は潰えました。もはや定着してしまったのです」と述べています。
信じられないほど知的な「スーパー豚」が作物や家畜に被害を与えまくっている - GIGAZINE
アメリカ南東部には1500年代半ばから野生豚が生息していますが、カナダの野生豚は比較的最近の問題で、1995年以前にはほとんど野性に豚はいなかったと言われています。以下のムービーでは、1995年から1年ごとに野生豚の目撃情報が急速に広まっていく様子を見ることができます。
Rapid expansion of invasive wild pigs across Canada from 1995 to 2021 - YouTube
1995年から1996年では、南部にわずかだけ野生豚が確認されました。
それから10年かけて、範囲も数も大幅に増加しています。
2015年には、南西部には数え切れないほど野生豚が確認されているほか、南東部にも無視できない数が増殖していることが分かります。
ブルック氏の研究チームは、野生豚の拡大を防ぐためにより詳細な分布図の作成に取り組んでいます。2023年3月14日にカナダ野生豚研究プロジェクトのFacebookに投稿された内容によると、野生豚の狩りが許可されていないオンタリオ州とケベック州を除くと、アルバータ州、サンカスチュワン州、マニトバ州に野生豚の分布が集中しており、中でもサスカチュワン州には約半数が集まっているとのこと。
また、ブルック氏は現在、エドモントン近郊でのスーパー豚の爆発的増加を追跡しているそうです。エドモントンはアルバータ州の州都であり、カナダの州都としてはトロントに次いで第2位の人口規模を持っています。以下の画像は2003年のエドモントン近郊の野生豚分布図で、都市から離れた位置に数件の目撃情報が確認されています。
10年後の2013年にはエドモントン近郊の目撃情報が急増しました。
最新の調査では、都市周辺に野生豚が個体群を確立しているほか、かなり都市に近い位置でも多数確認されています。
カナダ野生豚研究プロジェクトはFacebookに「野生豚を探すなら、まずトウモロコシを探すとよいでしょう。トウモロコシは身を隠すのに最適で、食料としての価値もあります」というコメントと共に、監視カメラに映った野生豚を投稿しています。ブルック氏は「完全な根絶はもはや不可能です」と厳しい現実を示しつつ、「それでも、これ以上の広がりを防ぐことは重要です」とプロジェクトの意義について語っています。
また、ブルック氏はField Streamが行った「カナダ南部のスーパー豚がアメリカ北部に侵入してくることはありますか?」という質問に対し、「彼らが国境を越えたことを証明するデータはまだありませんが、国境から1マイル(約1.6キロメートル)離れたところに発見された記録はあります。カナダの豚が米国に渡った例はすでにいくつかあると思います」と答えています。その上で、研究者と各地方自治体が協力して、アメリカとカナダの国境の両側に「豚禁止区域」を設置し、豚の所有と輸送に関する厳格な法律を整備することが大事だと語っています。
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