生き物

信じられないほど知的な「スーパー豚」が作物や家畜に被害を与えまくっている


野生化した豚は作物を荒らしたり、感染症を広めたりといった問題を引き起こすことが知られていますが、家畜の豚とイノシシを交配させた巨大かつ知能の高い「スーパー豚」がカナダで繁殖し、各地に被害を及ぼしていることが伝えられています。

‘Incredibly intelligent, highly elusive’: US faces new threat from Canadian ‘super pig’ | US news | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2023/feb/20/us-threat-canada-super-pig-boar

主にカナダに生息するスーパー豚は、雪の下にトンネルを掘って寒い気候を生き抜くことができる個体群であり、信じられないほど賢く、非常に捕まえにくい巨大な獣として知られています。特に問題視されているのが、1980年代に農家がイノシシと家畜の豚を交配して作ったスーパー豚です。この交配は、体が大きくて肉の生産量も多く、狩猟保護区で撃ちやすい豚を作ることを目的としたものでしたが、一部の個体が飼育下から逃げ出して繁殖した結果、カナダ全土に広がってしまいました。

スーパー豚は大きいもので300kgにもなり、その大きな体と地面に穴を掘るという性質を生かし、-50度にもなる極寒のカナダの冬を乗り切っているとのこと。狩人が捕獲を試みていますが、スーパー豚は人間の行動を察知すると夜間に活動するようになるため、見つけるのが非常に困難だそうです。


スーパー豚のみならず、野生の豚は人間に脅威をもたらす存在として認知されており、特にアメリカでは約600万頭の野生の豚が毎年15億ドル(約2000億円)の損害を与えているとされています。長い牙を持つオスは子鹿を襲ったり鳥の巣を荒らしたりして野生動物に危害を加えるほか、家畜や農作物を食べたり、木を破壊したり、水を汚染したりして人間にも害をもたらしています。

また、豚が媒介するアフリカ豚病などが家畜に害を及ぼす可能性も考えられているため、各地で野生の豚の早急な駆除が望まれているとのこと。アメリカ農務省の全国野性豚被害管理プログラムに所属するマイケル・マーロウ氏は過去10年間に7つの州で豚を撲滅することに成功したそうですが、豚を完全に駆除する現実的な望みはほとんどないと考えているそうです。


豚を駆除するため、アメリカやカナダの科学者らは大きなワナを作ったり、毒殺したりする取り組みをしています。成功した方法の1つは「GPS」を豚に付ける方法で、捕獲した1匹の豚にGPSを取り付けて野生に放ち、群れまで導かせるというものです。

駆除に向けて数々の活動が行われていますが、野生の豚を全滅させることはもはや不可能だとする専門家もいます。サスカチュワン大学でカナダの豚研究プロジェクトを率いるライアン・ブルック氏は「おそらく2010年から2012年の終わり頃までは、豚を見つけて駆除できる可能性がそれなりにあったのでしょう。しかし、今や豚は非常に広範囲に生息しており、数も多くなってきたため、2018年か2019年の終わりには根絶が可能だという希望は潰えました。もはや定着してしまったのです」と述べました。

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in 生き物, Posted by log1p_kr

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