絵画における「影」の表現を芸術家たちは何世紀にもわたり間違っていた
古代ローマ時代以降、ルネッサンスまで絵画に影はほとんど存在しなかったそうです。また、西洋美術以外でも影はほほとんど描かれていません。そんな、絵画の歴史において珍しい存在である「影」の表現方法に存在した間違いを、The MIT Press Readerが指摘しています。
The Art of the Shadow: How Painters Have Gotten It Wrong for Centuries | The MIT Press Reader
https://thereader.mitpress.mit.edu/the-art-of-the-shadow-how-painters-have-gotten-it-wrong-for-centuries/
影の表現は「物理的に間違っていたとしても、人間の視覚的には間違っていないように見える」ことが多くあるそうです。以下はイタリア・フィレンツェのブンラカッチ礼拝堂にある、1420年代に作成されたフレスコ画の「貢の銭」。このフレスコ画では複数の登場人物の影が正確に描かれているように見えます。
しかし、実際に「貢の銭」のような建物と人物の配置で左方向に影が伸びるように光が差している場合、影は絵画のようにはなりません。クワハラ・メエコ氏が作成した「貢の銭」の物体を再現した3Dモデルを見れば一目瞭然で、本来は建物の影が人物の影に大きく重なるはずです。
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