サイエンス

落ち込んだ気分の改善や不安の解消に効果的な呼吸法とは?


呼吸は人間が生きている限り常に行われるものですが、ほとんど意識されることはありません。しかし、呼吸の方法を意識することでストレスを軽減したり、気分を落ち着かせたり、不安を解消したりできるとされています。そんな気分の改善に効果的な呼吸法について、スタンフォード大学の研究者らが紹介しています。

Brief structured respiration practices enhance mood and reduce physiological arousal: Cell Reports Medicine
https://doi.org/10.1016/j.xcrm.2022.100895

Stanford's Ancient Breathing Technique - Super Self
https://superself.substack.com/p/stanfords-ancient-breathing-technique

スタンフォード大学のアンドリュー・ヒューバーマン氏らの研究チームは、ストレスを軽減し、気分を向上させるのに最も効果的な呼吸法を特定するために、3つの呼吸法とマインドフルネス瞑想(めいそう)を比較しました。

研究チームはさまざまな呼吸法やマインドフルネス瞑想が体にもたらす影響を測定するため、108人の実験参加者に睡眠や休養を測定する事ができるWHOOPを配布配布。被験者を「周期的な深呼吸」「ボックス呼吸」「周期的な過呼吸(ヴィムホフ法)」「マインドフルネス瞑想」の4グループに割り当て、それぞれの呼吸法や瞑想を6分間行ってもらい、その間の心拍変動を測定しました。


今回の実験で調査した「周期的な深呼吸」「ボックス呼吸」「周期的な過呼吸(ヴィムホフ法)」「マインドフルネス瞑想」についての説明は以下の通り。

・周期的な深呼吸
以下の動画では、息を吸った後、もう一度軽く息を吸い、長く息を吐く周期的な深呼吸の方法について紹介されています。

Guided Cyclic Sighing (5 Minutes) - Andrew Huberman - YouTube


・ボックス呼吸
以下の動画では、吸った後に息を止め、吐いた後にも息を止めるボックス呼吸について紹介されています。

Box Breathing Exercise | TAKE A DEEP BREATH | Pranayama Series - YouTube


・周期的な過呼吸
長く息を吸った後に短く息を吐くことを30回繰り返した後に、15秒間息を止める「ヴィムホフ法」と呼ばれる呼吸法について、以下の動画で紹介されています。

Guided Wim Hof Method Breathing - YouTube


・マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、自然な呼吸リズムで呼吸を行い、呼吸にだけ集中する方法です。


参加者は心拍変動の測定に加え、測定の前後や研究期間中の気分の変化や不安について研究チームに報告したとのこと。

以下のグラフは、4つのグループの調査結果を示したものです。Aで示された「気分の高揚」はどのグループでもプラスに推移しています。また、Bの「気分の落ち込み」やCの「不安の変化」はいずれもマイナス方向へ推移しています。


しかし、周期的な深呼吸を行ったグループは他の3グループよりも大きな効果が得られたとのこと。以下の画像は「気分の高揚」について4つのグループの結果を示したグラフです。水色で示された周期的な深呼吸のグループは、緑で示されたマインドフルネス瞑想のグループや、赤で示されたボックス呼吸のグループ、紫で示された周期的な過呼吸のグループよりも気分が高揚していることが示されています。


ヒューバーマン氏らの研究チームは「1日のうち数分でも呼吸法や瞑想を取り入れることで、自らにポジティブな変化を感じることができます。また、落ち込んだ気分の改善や不安の解消には、周期的な深呼吸を行うことが効果的です」と述べています。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1r_ut

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