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ウクライナの軍医が「まだ爆発する可能性のあるグレネードランチャーの弾」をウクライナ兵の体から命がけで摘出することに成功


ウクライナ兵の体内に残ったまだ爆発する可能性のあるグレネードランチャーの弾であるグレネード(擲弾)を、ウクライナの軍医が無事摘出することに成功しました。

Doctors risked their own lives to remove a live grenade from a Ukrainian soldier's chest | Live Science
https://www.livescience.com/live-grenade-surgically-removed-ukrainian-soldier

現地時間で2023年1月9日、ウクライナのハンナ・マリアール国防副大臣が自身のFacebook上で以下のメッセージを投稿しました。

メッセージには「心臓への傷がすべて致命傷になるというわけではありません!ウクライナの軍医が兵士の体から爆発前のグレネードを摘出する手術を行いました。医療スタッフの安全を確保するため、2人のサッパー(戦闘工兵)の立ち合いのもとで摘出作業が行われました。グレネードはいつ爆発するかわからないため、ウクライナ軍で最も経験豊富な外科医のひとりであるアンドリー・ベルバ氏が電気凝固法を用いずに手術を行いました。手術は成功し、負傷した兵士はさらなるリハビリテーションと回復のために移送されています」と記されており、投稿にはメッセージと共に兵士の体内に埋まったグレネードを写したレントゲン写真と、このグレネードを摘出することに成功したベルバ医師の姿を収めた写真が添付されています。


ウクライナのアントン・ゲラシチェンコ内務大臣顧問も、「サッパーが監修したユニークな作戦:ウクライナ兵の体から不発弾を摘出」というタイトルでこの外科手術についてTelegramで共有しており、同氏によると患者は28歳のウクライナ兵であるとのこと。

BBCもこの一件について報じており、ベルバ氏が摘出したグレネードは長さ1.6インチ(約4.1cm)ほどのもので、0.2マイル(約320メートル)離れた位置からターゲットを狙うことができるグレネードランチャーから発射されたものだと報じています。

なお、ベルバ医師が使用しなかったという電気凝固法は、電流を流して血管の端を焼き、傷や切開を焼灼することで出血を止めるという方法。この電気凝固法が用いられなかった理由は、流した電流がグレネードを爆発させることを恐れたためです。

ゲラシチェンコ内務大臣顧問は「ウクライナ軍の医師の診療で、このような手術(電気凝固法が用いられなかった手術)はこれまで一度も確認されていません」とも投稿しています。ウクライナとロシアの戦争が始まって以来、このような手術は行われていないかもしれませんが、それ以前には頻繁に電気凝固法が用いられない手術が行われてきました。


1999年に発表されたアメリカ軍の過去の医療データを調査した論文によると、第二次世界大戦以降だけでも36件の不発弾摘出手術が記録されており、手術前に4人の患者が負傷で死亡したものの、他の32人は手術に成功して無事生き延びることができたことが明らかになっています。

また、2006年にアメリカ軍の医師団がアフガニスタンで発作性心室頻脈を発症している患者の腹部から不発弾を取り除くことに成功したことが報じられました。他にも、2014年にアフガニスタンで23歳妊婦の頭から爆発する可能性のある弾薬を摘出する手術が行われています。術後になって摘出された物体は非爆発性の金属弾であることが判明したものの、手術を担当した医者は手術時に弾薬が爆発する可能性を考慮して電気凝固法を用いずに手術を行ったことが記録されています。

なお、アメリカ国防総省が運用する戦争で外傷を受けた患者の罹患率や死亡率を低減するためのJoint Trauma Systemには、不発弾が体内に残った場合の対処方法をまとめたガイドが存在します。

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in メモ, Posted by logu_ii

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