超富裕層が生まれる理由と税金の必要性が一発で理解できるウェブページ
世の中には「ギリギリの収入でなんとか生きている」という人もいれば、国家予算規模の資産を個人で所有する超富裕層も存在しています。そんな超富裕層が生まれる仕組みを一発で理解できるウェブページが公開されていたので、内容をまとめてみました。
Why the super rich are inevitable
https://pudding.cool/2022/12/yard-sale/
世の中のお金が動く仕組みを直感的に理解するために、まず「100人を集めた部屋でコイントスゲームを行う」という状況を用意します。
全員の所持金を1000ドルに設定し、賭け金を所持金の20%に設定します。すると、最初のゲームでは全員が200ドルを賭けることになります。
1ゲーム目では、右側の人物が勝利しました。これで、左側の人物の所持金は800ドルになり、右側の人物の所持金は1200ドルになります。
2ゲーム目で、1ゲーム目で負けた人と勝った人が対戦する場合、1ゲーム目で負けた人は160ドル(800ドルの20%)しか賭けられませんが、1ゲーム目で勝利した人は240ドル(1200ドルの20%)を賭けられます。
上記の条件で1ゲーム目で負けた人が2ゲーム目で勝った場合、所持金は960ドルとなります。一方で、1ゲーム目で勝っていた人は2ゲーム目で負けたにもかかわらず所持金が1040ドルで、最初の所持金よりも多い状態が続いています。つまり、両者に勝利の可能性が同等にあるゲームでも、所持金の多い方が有利な状況が続くわけです。
「所持金の多い方が有利になる」という状況は、ゲームの回数が重なるごとに顕著になります。以下の図は、上記のゲームを2ゲーム行った際の所持金の分布です。この時点では最も所持金の少ない人は640ドル、最も多い人は1440ドルを所持しています。
そして、ゲームを1万回繰り返した際の所持金分布が以下。勝率は常に50%にもかかわらず、最低所持金が0ドル、最高所持金が7万7428ドルという結果になりました。勝率が50%のゲームなら参加者の所持金は平等に推移するように思えますが、実際には圧倒的な差が生まれてしまうというわけです。このように、勝率が同じなのに格差が広がってしまう数学モデルは「ヤードセールモデル」と呼ばれています。
上記のゲームの場合、スタート時点での所持金が一定でしたが、スタート時の所持金に差があった場合の所持金の推移は以下のようになります。まず、左側の人物は100ドル、右側の人物は1000ドルを所持した状態で、「左側の人物の所持金の20%」を賭け金に設定したとします。
1ゲーム目では左側の人物が勝利して20ドルを獲得。2ゲーム目の賭け金は24ドル(120ドルの20%)に設定されます。
2ゲーム目では左側の人物は敗北し、24ドルを失いました。
さらにゲームを続けた結果、左側の人物は3ゲーム目で勝利、4ゲーム目で敗北という結果に。この時点で両者の勝利回数は2回ずつなのですが、左側の人物の所持金は初期状態を下回り、右側の人物の所持金は初期状態を上回っています。
ゲームを64回繰り返した結果が以下。どちらも32勝32敗ですが、左側の人物の所持金はみるみる減っていることが分かります。
「全員から一定の割合でお金を収集して、全員に均等に分配する」という再分配の仕組みを導入することで、上記のような「所持金の多い方が有利」という状況を緩和できます。以下のグラフは全員の所持金が1000ドルの状態から20%を賭け金として出すコイントスゲームを1000回実行した際の所持金分布で、黄色の線は再分配なし、紫色の線は再分配ありの分布を示しています。グラフをみると、再分配ありの方が所持金の差が小さくなっていることが分かります。
ゲームを2000回繰り返した結果が以下。再分配がない場合は所持金の差がさらに広がっていますが、再分配がある場合は差の拡大が抑えられています。この再分配は、社会における税の徴収に相当するもので、一定の割合で税を徴収するだけでも格差の拡大を抑えられるというわけです。
・関連記事
貧乏だとかえって高くつくものリスト - GIGAZINE
最も貧乏な人たちは最も裕福な人たちよりも税金の負担が大きいという研究結果 - GIGAZINE
トリクルダウンは存在せず「富裕層を支援しても貧困層は豊かにならない」という研究結果 - GIGAZINE
トップ1%の収入は下位50%より100倍速く増えていることが調査から明らかに、その勢いを可視化するとこんな感じ - GIGAZINE
資産50億円以上の「超富裕層」の世界分布状況はこんな感じ - GIGAZINE
・関連コンテンツ