画像生成AI「Stable Diffusion」バージョン3では自分の画像を学習させないように指示することが可能になる
画像生成AI「Stable Diffusion」を開発するスタートアップ・Stability AIの設立者であるEmad Mostaque氏がTwitterで、来たるStable Diffusion 3.0のトレーニングデータセットから、アーティストが自分の作品を削除できるようにすると発表しました。この動きは、Spawningというアーティスト支援団体が、画像生成AIに自分の作品が勝手に使われたかどうかを検索できるサイト「Have I Been Trained?」で収集したオプトアウト要求を尊重するとツイートしたことに由来しています。
Opt-in as well of course, about 50:50 both ways.
— Emad (@EMostaque) December 14, 2022
Technically this is tags for LAION and coordinated around that.
It's actually quite difficult due to size (eg what if your image is on a news site?)
Exploring other mechanisms for attribution etc, welcome constructive input. https://t.co/uYvN4yHldo
Stability AI plans to let artists opt out of Stable Diffusion 3 image training | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2022/12/stability-ai-plans-to-let-artists-opt-out-of-stable-diffusion-3-image-training/
画像生成AIのStable Diffusionは、インターネットから権利者に相談することなく収集した画像の大規模なデータセット「LAION」で学習していたことを問題視する声があがっていました。
まるで人間のアーティストが描いたような画像を生成するAIが「アーティストの権利を侵害している」と批判される - GIGAZINE
そこで、Have I Been Trained?では、自分の画像がデータセットに収録されていると判明した場合、データセットから自分の画像の削除を申請する「オプトアウト要求」が可能となっています。
IT系ニュースサイトのArs Technicaは、このオプトアウト要求がどのように機能するかを把握するため、実際にHave I Been Trained?にアカウントを作成し、PONGというゲームのチラシをアップロードして検索しました。
すると、以下のようにPONGのチラシが大量に検索結果として表示されたので、いくつかのサムネイルを右クリックし、ポップアップメニューで「この画像をオプトアウトする」を選択したとのこと。もちろんPONGのチラシの権利をArs Technicaは所有していませんが、一連の作業の中で身元を確認する試みや法的な管理は行われなかったとのこと。
記事作成時点では、アメリカとEUの法律においては、AIのデータセットに許可なく収集した画像を使用することは法的解釈が分かれるところで、「フェアユースに当たるので著作権侵害に当たらない」という意見もあれば、「AIのデータセットへの理由はフェアユースと認められない」というものもあります。また、Stablity AIの用意するオプトアウト要求プロセスは、EUの一般データ保護規則(GDPR)における同意の定義に合わないという指摘もあるとのこと。そのため、「データセットから外すように要求するオプトアウトではなく、データセットに含めてもいいと認めるオプトインにするべきだ」という意見もあります。
Ars Technicaは「Stability AIやLAION、Spawningが、オプトアウト要求があった画像の権利を法的に確認する膨大な作業を行った場合、その労力を誰が負担するのでしょうか? 自分の権利とアイデンティティを確認するために必要な個人情報をこれらの組織に託すでしょうか?」と疑問を呈しながら、「画像生成AIが革新的な技術であると信じていますし、あらゆる方面と関わりながら可能な限り透明であろうという姿勢に満足しています。すべてが動いていて、早熟の状態にあります」と述べました。
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