「GIGAZINEマンガ大賞」2022年11月度募集開始&受賞と連載を勝ち取るためのポイントを解説
GIGAZINEマンガ大賞はマンガや原作脚本といった作品、ポートフォリオによる作画担当・ネーム構成担当の応募も毎月締め切りで募集中です。2018年に募集をスタートしてから多数の応募をいただき、複数の作品が入賞して連載につながっていますが、「作品をどう工夫すれば受賞へ近づくの?」「審査で見ているポイントって何?」という点を、過去の受賞作への審査コメントを振り返る形で「受賞作に見るクオリティアップのポイント」にまとめてみました。新しく連載を目指すために応募を考えている人も、作品の制作にどこか行き詰まっている人も、チェックしてみると何か糧になる点が見つかるはず。
◆「GIGAZINEマンガ大賞」募集要項はこちらから
募集要項は既に読んだのでとにかく応募!という人は応募フォームからお願いします。
◆ポートフォリオを送って作画担当・ネーム構成担当・作画ヘルプの応募
◆受賞作に見るクオリティアップのポイント 審査講評のポイントとは?
GIGAZINEマンガ大賞では、応募されてきた作品の中から第一段階審査に通過した場合、編集部に加えてGIGAZINEシークレットクラブ(GSC)メンバー向けに掲載し、読者の感想を合わせて評価しています。また、最終審査では編集長による審査と、改めてGSCメンバーの審査が行われます。応募から連載につながった作品に関して、どのような点が評価されて、どのような点がアドバイスされたのか、マンガ応募・ネーム応募・原作応募の作品をいくつか抜粋してまとめてみました。
・マンガ応募「とにかくイジメたい朝日奈さん」
「とにかくイジメたい朝日奈さん」の評価が高かった点は、「画力の高さ」と「キャラクターのわかりやすさ」です。シナリオの設定部分も面白かったのですが、それ以上に「画力」と「キャラ」の地盤があると、読んでいて「こう展開するのか」と納得したり驚いたりしやすく、続きの展開も見通しが立ちます。逆に、シナリオがかなり凝っていても描写が粗かったり、キャラが平凡だったりすると、一つ一つの展開が単調に見えてきます。また、作者自身が自分と作品の強みを理解していて、全体の雰囲気をガチッと決めて読者と共有できている感じが優れていました。一方で「ネタの物足りなさ」にも言及されていたため、設定上の動きやバトルの決着、ギャグの言葉選びとして「より適切なのはないか?」と検討する時間も作品制作において重要になりそうです。
マンガはこちらから読むことができます。
・マンガ作品応募「ガス屋で~す!」
「ガス屋で~す!」はガスの契約販売会社に就職した新入社員を描く「お仕事マンガ」。実際に経験がある場合でも、一から調べる場合でも、「専門的な話」というのはそれだけで差別化できるので、スタートラインとして有利な面もあります。しかし一方で、実体験を並べるのは少しリアルすぎてしまったり、知識を並べるのは難解になったりとつまずくポイントも多いですが、「ガス屋で~す!」は十分な知識と、エンタメとして専門的な話を伝えるテクニックとが備わっていました。専門的なテーマで作劇しようとしてみる場合には、「知識ゼロの人が見ても理解できるか?」「そこまでその専門に興味がなくても楽しめるか?」「この専門分野でネタを出し続けられるか?」という3点が重要なポイントになってくるため、審査でもそこが重視されました。
「ガス屋で~す!」は2023年春ごろの連載開始に向けて準備中です。少しずつ情報解禁していきますので、ぜひチェックお願いします。
・ネーム応募「秘密の宮園」
ネーム作品として応募された「秘密の宮園」は、かわいらしいキャラクターや重厚な設定もさることながら、導入からフリとオチ、ほのぼのと見せかけてSF、という「勢い」がとにかくありました。設定を作り込むとそれを詳細に語りたくなったり、話を動かすよりも世界観を大きく展開することを優先したりしがちですが、「秘密の宮園」は重要な点はさらっと説明しつつ、キャラの掛け合いのテンポもよく、とにかく読みやすくなっていました。そのような「実際に読む人の気持ち」を捉えた工夫があった一方で、審査員のコメントには「キャラの行動理由や感情の動きがわかりにくいので、ターゲットとなる読者を想定して意識するべき」という指摘もあったため、とにかく「作品を仕上げた後に、独りよがりにならず、読者視点で客観的に見る」ということが大事。
マンガはこちらから読むことができます。
・脚本応募「勇者で社畜の兼業ライフ(応募時から改題)」
テキストのみの「脚本応募」では、マンガの脚本では小説としての文章が優れていても評価されづらく、また、画面的な動きが少ない作品はマンガとしては評価が難しくなります。「勇者で社畜の兼業ライフ」が連載につながった強みは大きく分けて2点あり、まずは描写力や言葉のうまさを超えた「ハッタリ」が効いていた点。「異世界の勇者」という設定はベタにも感じますが、「ゲーム会社で働く」という具体的なポイントと、「ゲーム会社での経験と知識が勇者に役立つ」という設定に妙な納得感があり、「この舞台設定で何をするのか?」と期待させる面が強くなっていました。2点目に、特に強かったのがキャラクターの描写で、キャラクターが魅力的に造形できていると感じられました。キャラが確立されていると、キャラの各セリフや振る舞いがスムーズに伝わり、作品のことが好きになります。それぞれのキャラクターはどのような人物像で、どのような来歴をたどっていて、キャラクター同士の関係はどのような距離感か、ということを設定しておくと、テキストだけでも間違いなくシナリオ上にキャラの魅力が見えてきます。
「勇者で社畜の兼業ライフ」の第1話は以下から読むことができます。連載が長らく止まってしまっていますが、2023年春ごろのリニューアルに向けて進行中。ぜひチェックお願いします。
「過去の受賞作」についてはmanga.gigazine.netにも掲載していますので、気になる方はそちらもチェックお願いします。
◆「GIGAZINEマンガ大賞」募集要項
・GIGAZINEでマンガを連載すると……?
・完全リモート&作業タイミングもお任せ
・連載マンガはGIGAZINEに掲載されるから、とにかくまず読んでもらえる
・厳密な締切はなくスケジューリングしやすい
・ジャンルやターゲットの制限なし、面白ければなんでもOK
・色塗りや背景を任せられるアシスタント完備(自費の必要はありません)
・まだ若いレーベルのため、ベンチャー企業のように意見や要望が通りやすい!
・「法律とか税金とか知識がないけど大丈夫?」や「編集との連載作業ってどうなの?」といった、フリーランスとしてやっていくことに対する不安がある人のために、経済産業省のガイドラインに合わせて「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を公開しています。疑問や不安になりやすい点をQ&Aでまとめているので確認してみてください。
などなど。ほかにも「これはどうなの?」ということがありましたらこちらをクリックしてなんでもお問い合わせしてください。
・基本条件:
・スマホでも読めるのが前提(見開きナシ、縦スクロール基準)
・フルカラー、フルデジタル(白黒の場合は「原作」として扱う場合がありますが、応募自体は大歓迎です)
・ジャンル自由で「第1話」の完成原稿とそのメイキング資料であること。メイキング資料はキャラクターデザインや設定のほか、ストーリー全体のあらすじを200~800文字程度の範囲でお送りください。応募内容に不足があると審査が進められない場合がありますので、予めご了承ください。
・原稿フォーマット:
縦横比率・ファイルサイズ・解像度は「姫とゲーマー」を参考にして下さい。
・原稿枚数:
自由。何ページでもOK。
・その他:
・既に自分で他メディアやプラットフォームにて発表済みの一次創作OK
・雑誌には掲載されたが単行本化されなかったor途中でやんごとなき事情で打ち切られてしまったという作品もOKです。あきらめないでください。
・締切日:
2022年11月30日水曜日、23時59分59秒
・審査プロセス:
編集部による1次選考後、以下のような審査プロセスを予定しています。審査のプロセスや段階については多少変更する場合がありますので、第1段階審査前に別途説明と確認をお送りします。
第1段階:GIGAZINEシークレットクラブメンバーだけが閲覧可能なクローズド環境による評価+編集部によるメイキング資料を含めた評価
↓
第2段階:より連載を意識した形式で、「第1話原稿」や「最終話までのプロット」など必要事項を追加作成いただいた上での審査。ここまで進出した段階で、ほぼ何かしらの形で連載を約束します。
↓
最終段階:連載形式の原稿にて、GIGAZINE編集長による審査+GIGAZINEシークレットクラブメンバーによる評価+GIGAZINEで連載中の作家などゲスト審査を行い総合的に大賞受賞者を決定します。また、最終段階に残った時点で連載は確約いたします。
・報奨:
1次審査を通過し第1段階に選ばれた全員:
賞金3万円
第2段階進出:
追加で賞金2万円+連載に向けて担当編集がつきます
最終段階進出者:
最終段階進出時点で追加賞金5万円(計10万円)+応募作品をブラッシュアップした上での連載確約
入賞以上:
追加賞金10万円~+連載確約
大賞:
賞金100万円+応募作品そのままで連載確約
・応募作品の選考結果
最初の第一段階審査に進んでいただく作品については、応募月の翌月末までに応募時のメールアドレスへ審査の詳細についてご連絡差し上げます。
それ以外の場合、審査結果の通達は基本的に行っておりませんのでご了承下さい。
・受賞後の流れ
GIGAZINEで連載形式で掲載を終えた後、電子書籍化しAmazonで販売します。それぞれ規定の原稿料・ロイヤリティをお支払いします。電子書籍の販売・宣伝もGIGAZINEが責任を持って行います。
・質問受付フォーム:
応募するにあたっての疑問点があればこちらをクリックしてお問い合わせしていただければ大丈夫です。同じような質問が続く場合はFAQとしてまとめますので、ご理解とご協力をお願いします。
・マンガ大賞応募フォーム:
こちらをクリック
◆作画担当・ネーム構成担当・作画ヘルプの応募
・「作画のみ」応募方法:
マンガ大賞応募フォームに、ポートフォリオのURLや作品集を見せていただければOK。「その他」の欄に「作画のみ応募」と記載してください。ポートフォリオ用のイラストやマンガについて枚数の制限はなく、何枚以上必要というラインもありませんが、多ければ多いほど評価を得やすいです。
・「ネーム構成担当」応募方法
テキストの原作脚本をネームに起こす「ネーム構成」も募集しています。作画のみと同じく、ポートフォリオや過去に制作した作品ネームやマンガ作品について、できる限り多く送信してください。
・「作画のみ」「ネーム構成」の審査フロー:
ポートフォリオを見ての第1段階審査通過分についてはフォームを送信いただいた翌月までにご連絡を差し上げるため、第2段階審査で実際にお試し原作で描いてもらい、通過後、最終段階の投票審査に回します。
・報奨:
第1段階のポートフォリオ審査を通過し第2段階に参加:
賞金5万円
※ここでの審査は追加の原稿作業を要するため、第2段階に進出・参加いただいた全員に奨励金が発生します。
最終審査で入賞以上:
追加賞金10万円+連載確約
大賞:
追加賞金20万円+連載確約
※原作脚本の都合により、即座に連載に入ってもらえるとは限りませんが、優先的に提案するという形で連載を確約します。
・ヘルプ応募の手順:
フルカラーのマンガを制作するサポートをしてくれるヘルプも募集しています。キャラなどの下塗りやテキスト配置、背景ヘルプも歓迎。完全リモートで自宅にいながら可能なタイミングのみ参加いただくことができます。
・条件:
特に無し。「作業可能ならタスクリストから引き受けるものを選んで作業する」という流れになるため、忙しい時期は不参加ということも可能です。
また、ヘルプで参加しながらおこづかい稼ぎとスキルアップをしつつ、オリジナル作品を制作して編集に提案、ということもOKです。
・報酬:
「色塗りヘルプ」「背景ヘルプ」は作業管理ソフトで時給を計算します。時間給は初めはお試し期間として設定し、そこから作業練度や貢献できる数などによってアップさせていきます。
「ネーム構成」の場合は1ページ当たりの原稿料で計算します。
・応募方法:
GIGAZINEマンガ大賞応募フォームから、「作品ファイルダウンロード用のアドレス・URL」の代わりに「過去に作業したカラー原稿やポートフォリオ」を閲覧できるURLを貼り付けて下さい。また、最後の「その他こちらが知っておくべき必要な情報など」に「色塗りヘルプ」「背景ヘルプ」「ネーム構成」どれを希望するか該当するものを入力して下さい。
・マンガ大賞応募フォーム:
こちらをクリック
◆原作脚本募集要項
・第1話原稿に加えて、1話から最終話までのプロット(あらすじ)を合わせて用意してください。あらすじは作品全体の流れを詳細に、100字~800字でまとめて原稿の最初のページに記載をお願いします。
・1次審査では単純な話の面白さと1話の完成度を見ます。2次審査から最終審査に進んだ場合は、実際にマンガ原作を作成することを意識した「ト書きの脚本を最終話までコンスタントに作成できるか」を審査します。
・「原作のみ」で文字のみの応募の場合は、Googleドキュメントに本文を貼り付けた後、共有リンクのアドレスを応募フォームに記載してもらえれば大丈夫です。その場合、応募後にドキュメントの編集は行わないようにお願いします。
・Googleの共有設定が「リンクを知っている全員」になっていることを確認してください。「制限つき」のままだと応募された作品を読むことができません。詳しくはGoogleドキュメントヘルプの「ファイルを一般公開で共有する」をチェックしてください。
・報奨:
1次審査を通過し第1段階に選ばれた全員:
賞金3万円
第2段階進出:
追加で賞金2万円+連載に向けて担当編集がつきます
最終段階進出者:
最終段階進出時点で追加賞金5万円(計10万円)+応募作品をブラッシュアップした上での連載確約
入賞以上:
賞金10万円+連載確約
大賞:
賞金20万円+応募作品そのままで連載確約
※作画担当とのマッチングの関係上、即座に連載に入ってもらえるとは限りませんが、優先的に提案するという形で連載を確約します。
応募フォームはこちらをクリック
マンガ大賞の選考フローには「GIGAZINEシークレットクラブ(GSC)・クローズド審査」があります。GSCメンバーの人はもちろん、まだメンバーじゃないよという方も、ぜひこの機会にGSCの一員となって、未来の名作の誕生に立ち会ってください。GIGAZINEシークレットクラブへの登録はこちらから。
それでは、クリエイターの皆さまの応募を心よりお待ちしております。よろしくお願いします。
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