「人間VSゴミあさりオウム」の知恵比べ競争が激化している
生ゴミをあさる動物といえば日本ではカラスをイメージしがちですが、オーストラリアではオウムのゴミあさり被害が問題となっています。オウムは「道具を使ってゴルフをプレーできる」と言われるほどの知能を持っており、ゴミ問題に関しても「オウムがゴミ箱のフタを開けるという行為を急速に学んでいる」という研究報告が過去にありました。さらなる新しい研究では、ゴミをあさるオウムに対抗した人間の防御策をさらにオウムが上回る行動を見せており、研究者は「オウムと人間との革新的な競争に突入した」と表現しています。
Is bin-opening in cockatoos leading to an innovation arms race with humans?: Current Biology
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(22)01285-4
Humans And Cockatoos Are Embroiled in an Escalating 'Arms Race' in Australia : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/humans-and-cockatoos-are-embroiled-in-an-escalating-arms-race-in-australia
2021年7月に公開された論文では、オウムが「ゴミ箱のフタを開けて中身をあさるようになった」という目撃報告が、急速に広い範囲で増加していることから、「オウムはゴミ箱のフタを開けるという行為を仲間から学んでいる」と考えられました。ここでは、ゴミ箱が開けられないようにゴミ箱のフタに載せられた重しを、オウムが器用にどかしてフタを開ける様子も報告されています。
オウムが「ゴミ箱のフタを開ける」という行為を急速に学んでいるという報告 - GIGAZINE
オーストラリアの郊外にある美しい町スタンウェル・パークは、オウムVS人間の戦いの最前線となっています。町でカフェを営むアナ・キュリック氏は「ゴミを捨てた直後にゴミ箱を閉めないと、そこにオウムが入ってしまいます。問題になっているのはオーストラリアではどこにでもいるコカトゥーで、店の入口をぐちゃぐちゃにして飛び去っていきます」と嘆く声を寄せています。キュリック氏はフクロウの像を置くことでオウムを怖がらせようとしましたが役に立たず、ゴミ箱のフタにレンガを置いても取り除かれてしまい、最終的に錠前を取り付けざるを得なくなったそうです。
Cockatoos and humans are in an arms race over garbage access - YouTube
2017年の研究で、オウムがゴミ箱を開けるための方法を編みだし、それが地域の「伝統」として広まっていることが発見されました。2022年に公開された新しい研究では、オウムにゴミを散らかされないように対応した人間に、オウムがさらに対応していることが示されました。研究の筆頭著者であるバーバラ・クランプ氏は「オウムがゴミ箱の開け方を学習しているのは驚きでした。しかし、それに対応する人間たちのさまざまな方法の種類に本当に驚きました。興味深いことに、オウムと人間はともに『段階的な進行と反復』に従事しているように見えます」と述べています。
クランプ氏らの研究によると、国勢調査で3283箇所のゴミ箱を確認したところ、一部のオウムはオウムを怖がらせるためのゴム製のヘビや、押しのけられるレンガなどの低レベルな保護は、容易に破っていることが分かりました。一方で、フタに重りを取り付けて人間の力で持ち上げる以外に取り除けなくしたり、ヒンジにものを突き刺してフタが完全に開かない状態にしたりといったより強力な方法は、オウムは突破できていませんでした。
クランプ氏は、このオウムと人間の競争の勝者について「最終的には人間になると思います」と述べつつも、「しかし、それがどのように発展するかは注目に値します。オウムの数が減少したと思って警戒が緩んでいる人もおり、それによりゴミ箱に対策を仕掛けることを怠ると変化が起きる可能性があります」と述べています。この対決がエスカレートし続ける結果、どちらの側にも「最終的に勝利する可能性があります」とクランプ氏は補足しています。
また、人間と野生動物の衝突によって動物にイノベーションが機能するケースは数多く報告されていますが、オウムが人間の対策に対抗してゴミ箱の開け方を学習していく競争は、より賢い新しいオウムの品種につながる可能性は低いとのこと。
オウムによるゴミ被害は問題となっていながら、スタンウェル・パークにおいてオウムは「空のネズミ」のあだ名で愛されているそうです。
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