アルバニアが「サイバー攻撃を受けた」としてイランとの国交断絶を表明、サイバー攻撃による国交断絶は史上初
東ヨーロッパのバルカン半島に位置するアルバニアが、2022年7月に受けたサイバー攻撃はイランによる支援を受けたものだとして、現地時間の9月7日にイランとの国交断絶を表明しました。今回の一件は、サイバー攻撃を巡って国交を断絶した初の事例とみられています。
Albania cuts diplomatic ties with Iran over July cyberattack | AP News
https://apnews.com/article/nato-technology-iran-middle-east-6be153b291f42bd549d5ecce5941c32a
Albania blames Iran for July cyberattack, severs diplomatic ties
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/albania-blames-iran-for-july-cyberattack-severs-diplomatic-ties/
アルバニアのエディ・ラマ首相がイランとの国交断絶について説明する様子は、以下の動画で確認することができます。
Kryeministri Edi Rama - Një VENDIM I DETYRUAR I QEVERISË - YouTube
2022年7月15日、アルバニア政府のデジタルインフラストラクチャーが激しいサイバー攻撃の標的になったとのこと。アルバニア政府の公共サービスが一時的にマヒし、データや通信サービスにハッキングが仕掛けられたそうです。
しかし、アルバニア政府はこのサイバー攻撃の被害を最小限に抑え、すぐにシステムやデータを復旧させることに成功したため、攻撃者は当初の目的を達成することはできなかったとラマ首相は述べています。
攻撃者の調査を行った結果、今回のサイバー攻撃はイラン政府の支援を受けた4つのハッキンググループによるものだったことが判明したとのこと。あるハッキンググループは、過去にイスラエルやサウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン、クウェート、キプロスなどを標的にサイバー攻撃を行っていたそうです。
サイバー攻撃とイランの関係についての調査結果は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国やその他の友好的な国々と共有したとラマ首相は述べています。
今回の調査結果を受けて、アルバニア政府はイランとの国交断絶を決定。すでにイラン大使館に対し、すべての外交官や技官、行政官、保安職員を24時間以内にアルバニアから退去させることを公式に通知したとのことです。ラマ首相は国交断絶が極端な反応だと認めつつも、それを強いたのはイランの方であり、サイバー攻撃やそれに伴う公共サービスの停止、公式データの削除といった国に混乱をもたらす脅威に対処するための措置だと述べています。
AP通信は、アルバニア国内にはイランの反体制派であるモジャーヘディーネ・ハルグ(MEK)の拠点があり、約3000人のメンバーが居住していると指摘。イランの支援によるサイバー攻撃は、こうしたアルバニアのNATO寄りの姿勢に反発したものであると示唆しました。
アメリカのサイバーセキュリティ企業・Mandiantのヴァイス・プレジデントを務めるJohn Hultquist氏はAP通信に対し、今回の攻撃はNATO諸国の重要な政府システムが脆弱(ぜいじゃく)であり、攻撃を受けていることを示すものだと主張。「アルバニアへの攻撃は、イランの最も攻撃的なサイバー活動は中東地域に集中しているものの、決してそこに限定されるものではないと気づかせるものです。イランは破壊的なサイバー攻撃だけでなく、複雑な情報操作も世界規模で行っていくでしょう」と述べました。
また、アメリカのホワイトハウスも、アルバニアとイランの国交断絶について声明を発表しています。
Statement by NSC Spokesperson Adrienne Watson on Iran’s Cyberattack against Albania - The White House
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/09/07/statement-by-nsc-spokesperson-adrienne-watson-on-irans-cyberattack-against-albania/
ホワイトハウスは声明で、「アメリカはNATOの同盟国であるアルバニアに対するイランのサイバー攻撃を強く非難します。私たちは、この前例のないサイバー攻撃の責任をイランに求めるラマ首相の呼びかけに加わります」と述べています。アメリカは7月15日にアルバニアがサイバー攻撃を受けた後、民間部門のパートナーと協力してアルバニア政府の復旧作業や調査に協力し、イラン政府がハッキングの背後にいると結論づけたとのことです。
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