Appleがカースト差別を明示的に禁止する最初の大手テクノロジー企業に
ビッグ・テックと呼ばれる大手テクノロジー企業で初めて、Appleがカースト差別を明示的に禁止する企業になったと報じられています。
Caste in California: Tech giants confront ancient Indian hierarchy | Reuters
https://www.reuters.com/business/sustainable-business/caste-california-tech-giants-confront-ancient-indian-hierarchy-2022-08-15/
Apple becomes first tech giant to explicitly ban caste discrimination, trains managers on Indian caste system - Technology News
https://www.indiatoday.in/technology/news/story/apple-becomes-first-tech-giant-to-explicitly-ban-caste-discrimination-trains-managers-on-indian-caste-system-1988183-2022-08-15
生まれによって職分・階級が定められるというヒンドゥー教の身分制度が「カースト制度」です。ヒンドゥー教が多数を占めるインドでは、このカースト制度を基にした差別である「カースト差別」が存在しています。このカースト差別は海を越えたアメリカ・シリコンバレーのインド系技術者にまで伝播しており、訴訟にまで発展していることが長らく問題視されてきました。
インドの「カースト差別」がアメリカのシリコンバレーで定着している - GIGAZINE
Appleなどのテクノロジー大手は人種などのさまざまなトピックで差別を禁止していますが、カースト制度に基づく差別を明示的に禁止するには至っていませんでした。しかし、新たにAppleは社内でのカースト差別を明確に禁止するためにポリシーを更新したと報じられています。
報道によると、2020年6月にカリフォルニア州の雇用規制当局が「シスコシステムズにおいてカースト制度における身分の高いインド系エンジニアが、カースト制度における身分の低いエンジニアのキャリア形成を妨害した」として同社を訴えた際に、Appleのカースト差別禁止ポリシーも誕生した模様。なお、シスコシステムズの一件はアメリカで最初に行われたカースト差別関連の雇用訴訟です。
ロイター通信によるとAppleはカースト差別禁止ポリシーの存在を認めており、「カースト制度に基づく差別や嫌がらせを禁止するために、数年前に禁止ポリシーの文言を更新した」とコメント。加えて、従業員向けの教育の一環で、カースト制度について明示的に言及しているとも述べています。これはインドで広く知られるカースト制度という概念が、アメリカ出身の従業員にはなじみがないため、Appleの従業員が新しいカースト差別禁止ポリシーをより良く理解できるようにするための一環だそうです。なお、ロイター通信によるとAppleのカースト差別禁止ポリシーは、2020年時点で施行されていたそうです。
また、AppleだけでなくIBMもカースト差別の禁止に向けて動きを進めていることが明らかになっています。ロイター通信によると、IBMはカースト差別に関するトピックについてマネージャーを訓練している段階だそうです。ただし、ポリシー上で明示的にカースト差別を禁止するには至っていない模様。
なお、Amazon、Dell、Facebookの所有者であるMeta、Microsoft、Googleなどの大手テクノロジー企業は、Appleのようにポリシー上でカースト差別について具体的な言及を行っていません。
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